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通り魔
「通り魔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
通り魔の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
に叫びながら、飛び立とうとしたじゃありませんか。泰さんは場所が場所だけに、さては
通り魔でもしたのかと思ったそうですが、慌てて後を振返ると、今まで夕日の中に立って....
「或る女」より 著者:有島武郎
呼んでみた。貞世は返事一つしなかった。……葉子はぞっとした。貞世はああしたままで
通り魔にでも魅いられて死んでいるのではないか。それとももう一度名前を呼んだら、線....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
造は素早くそれを拾うと、 「そうだ、これさえあれば逃げられる!」 淀屋橋の方へ
通り魔のように走って行きながら、娘のチマ子の顔が頭をかすめ、京都へ行こう、京都へ....
「世相」より 著者:織田作之助
アパートに行くと、いつの間にどこへ引き越したのか、女はもうアパートにいなかった。
通り魔のような一月だったが、女のありがたさを知ったのはその一月だけだった。黙って....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
などということを通り越して、なにか一種の魔物ではないかとも疑いはじめた。死に神か
通り魔か、狐か狸か、なにかの妖怪が自分に付きまつわって来るのではないかと思うと、....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
」 と子爵が訊く。差向いに居た民弥が、 「いいえ。」 「何です。」 「やっぱり
通り魔の類でしょうな。」 「しかし、不意だからちょっと驚きましたよ。」とその洋画....
「食魔」より 著者:岡本かの子
鼈四郎はその後一度もこの夫妻に会わないが、彼の生涯に取ってこの春の二回の面会は
通り魔のようなものだった。折角設計して来た自分らしい楼閣を不逞の風が浚い取った感....
「くろがね天狗」より 著者:海野十三
先で、カチリと金属の擦れあう疳高い音響が聞えた。 「な、なんだろう――今のは?」
通り魔か? 通りすぎた気配だけあって、姿のない怪人! 生命の満足に残ったのが虎松....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
あ云う処置に出たのだろうと、自分で自分が判らないので御座いますのよ。全くそれが、
通り魔とでも申すのでしょうか。それとも、あの観覧車に不思議な魔力があって、それが....
「岩田夫人の死を悼む」より 著者:岸田国士
つたのである。 まつたく何びとの予測をもゆるさず、一切の手当を無効ならしめた、
通り魔のような生理的機能障碍がその原因である。 しかし、岩田君は、どこかでまだ....
「道なき道」より 著者:織田作之助
った。いや、教えている庄之助自身、このような音が一度だって出せたかどうか。まるで
通り魔のような音であった。 庄之助はまるで自分の耳を疑うかのように、キョトンと....
「武田麟太郎追悼」より 著者:織田作之助
は自分で殺していた。人には見せなかった。ところが、ふとそれが現れてしまったのだ。
通り魔のように現れたのだ。そして
通り魔のうしろには死神がついていた。うしろには鬼....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
えがして、菊畑の前、荒物屋の角あたりから、疾風一陣! 護国寺前から音羽の通りを、
通り魔の通るよう、手足も、衣も吹靡いて、しのうて行くか、と犬も吠えず鼠もあるかぬ....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
「新聞に――、何か面白いことでも、出ておりまして?」と訊いた。 「ウム。『省電の
通り魔』ッて題で、スリの一味が就縛された記事があるが、それを捕えた山梨刑事の写真....
「蛇性の執念」より 著者:大倉燁子
で無抵抗で、あの方の思うままになっておしまいになりました。 しかしそれはほんの
通り魔のような過失で、全く一時の感情で、弟様に対して新らしい愛情が起ったのではご....