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通俗
「通俗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
通俗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
―とか何とか云う理由から、このカッフェの定連《じょうれん》の間には、夙《つと》に
通俗小説と云う渾名《あだな》が出来ているらしい。もっとも渾名《あだな》にはまだい....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
て行ったらしい。これはあらゆる立志譚《りっしたん》のように――と云うのはあらゆる
通俗小説のように、感激を与え易い物語である。実際又十五歳に足らぬわたしは尊徳の意....
「出帆」より 著者:芥川竜之介
帽子をかぶって、茶の背広を着た君は、扇を持って、こっちをながめていた。それも至極
通俗なながめ方である。学校から帰りに、神田《かんだ》をいっしょに散歩して、須田町....
「或る女」より 著者:有島武郎
があった。絵といわず字といわず、文学的の作物などに対しても葉子の頭はあわれなほど
通俗的であるのを葉子は自分で知っていた。しかし葉子は自分の負けじ魂から自分の見方....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
った。当時月の世界の住民に関するいろいろな空想が流行したと見えて、そういうものが
通俗的な各種の描写の上に現われている。かの偉大な天文学者ウイリアム・ハーシェル(....
「暗号音盤事件」より 著者:海野十三
て、曲目は「ホーム・スイートホーム」とか「英国々歌」とか「トロイメライ」とかいう
通俗なものばかりであった。 私はその一枚をとって、蓄音機にかけてみた。ヴィオロ....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
庶民階級がすきだと見えて、いつになく短気を出さず、淳々として丘へあがった船上で、
通俗講演を一くさりぶったのであった。 「ああそうそう。某国大使館というのは、どこ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
…何不足のない身の上とて、諸芸に携わり、風雅を楽む、就中、好んで心学一派のごとき
通俗なる仏教を講じて、遍く近国を教導する知識だそうである。が、内々で、浮島をかな....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
なんぞ影も見せたことのない処へ何しに来たろう。――ああ、そうか。矢野(弦光)の、
通俗、首ったけな惚れかたを、台町の先生に直ぐ取次いだところ、「好かろう。」と笑い....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
と思う。 従ってこの新訳は、漫に古語を近代化して、一般の読者に近づきやすくする
通俗の書といわんよりも、むしろ現代の詩人が、古の調を今の節奏に移し合せて、歌い出....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
リスマスの九時からのがある。これが一番有名なので、良い研究の結果が出ると、それを
通俗に砕いて話すのである。現今ではここで話すことを以て名誉として、講師には別に謝....
「妖怪学」より 著者:井上円了
の心を論ずる学、これを心理学という。 以上示すごとく、唯物的の理論に考うるも、
通俗的の見解によるも、生理、心理の両学あること明らかにして、人はこの生理、心理の....
「妖怪学一斑」より 著者:井上円了
柳の繁殖する年は豊作である、蛍火のない年は秋の田の実りがいいというようなことを、
通俗に申し伝えております。これらは、いわゆる前もって時間の上で予言をなすのであっ....
「鴎外博士の追憶」より 著者:内田魯庵
かったのが証される。 鴎外の博覧強記は誰も知らぬものはないが、学術書だろうが、
通俗書だろうが、手当り任せに極めて多方面に渉って集めもし読みもした。或る時尋ねる....
「欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
堂三百四十五カ所、僧侶三百四十人に過ぎず。けだしその原因は、第一に、高尚に過ぎて
通俗に適せず、第二に、自由に過ぎて教会を組織するに難きの理由あるべしといえども、....