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通帳
「通帳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
通帳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
う。 家の方へは行先を隠し、また京都では素姓を隠す必要上、陽子は転入証明も配給
通帳もわざと持って来なかった。だから、旧円を新円に替えることも、
通帳から生活資金....
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
苦しめられた芸妓の一人が、その復讐のつもりもあって 「姐さんは、そのとき、銀行の
通帳を帯揚げから出して、お金ならこれだけありますと、その方に見せたというが、ほん....
「身投げ救助業」より 著者:菊池寛
役者とありふれた関係に陥ちていた。扇太郎は巧みに娘を唆《そその》かし、母の貯金の
通帳を持ち出させて、郵便局から金を引き出し、娘を連れたままいずこともなく逃げてし....
「父帰る」より 著者:菊池寛
や》がいなくなった後には、おたあさんが俺のために預けておいてくれた十六円の貯金の
通帳《かよいちょう》まで無くなっておったもんじゃ。 新二郎 (涙を呑みながら)し....
「夫婦善哉」より 著者:織田作之助
吉は金に困って来たと、蝶子にも分った。 父親が中風で寝付くとき忘れずに、銀行の
通帳と実印を蒲団《ふとん》の下に隠《かく》したので、柳吉も手のつけようがなかった....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
「金融野瀬商会」 べつに看板を掛けた。それには、 「恩給・年金立て替え 貯金
通帳買います 質札買います」 恩給・年金の立て替えはべつとして、あとの二つは....
「幸運の黒子」より 著者:海野十三
転地療養をすることになって残額の二千円はばたばたとなくなってしまった。そして貯金
通帳から、最後の五十銭までが奇麗に払い出されると、間もなく細君の寿命も、天国に回....
「わが町」より 著者:織田作之助
を見て、ああ知らなんだと、にわかに涙を落した。 そして、腹巻きの中から郵便局の
通帳を出して来て、言うのには、 「今までこれを何べん出そ、出そ思たか判らへんかっ....
「易と手相」より 著者:菊池寛
るような気がするのである。 易は、私は一度見て貰った。それは数年前、郵便貯金の
通帳を失くしたときである。三百何円しか金額はなかった。私は数日家中を探したがない....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
めされながら、割合に元気なのは、帰宅早々婆さんを使いに、角店の四方から一升徳利を
通帳という不思議な通力で取寄せたからで。……これさえあれば、むかしも今も、狸だっ....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
その人を命の恩人と思い、今は行方は判らぬが、もしめぐり会うことがあれば、この貯金
通帳をそっくり上げようと名義も秋山にして、毎月十日に一円ずつ入れることにしたので....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
き、甲斐絹のごく古風な信玄袋がはいっているのを、チラリと見た。あの中には、貯金の
通帳がはいっているはず――あれをそっと持ち出して……。 (だって、「落伍者の群」....
「鬼」より 著者:織田作之助
しはないんだ。銀行へ預ける身分になりたいとは女房の生涯の願いだったが、遂に銀行の
通帳も見ずに死んでしまったよ」 「ふーん」 私は半信半疑だったが、 「――二千....
「幽霊」より 著者:小野佐世男
作るのに、米屋も酒屋も肉屋も、なんでも競争がはげしかった。「ソレッ!」とばかりに
通帳をつくり、おしかけて来たもので、要領の好い商人なぞは、引越の手つだいなぞをす....
「わが町」より 著者:織田作之助
しめを縫うているのを見て、にわかにほろりとした。 そして、腹巻の中から郵便局の
通帳を出して来て、言うのには、 「今までこれを何べん出そ、出そ思たか判らへんけど....