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「通用門〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

通用門の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
逢って来ましょう」 半七は八丁堀を出て、草履の爪先を浅草にむけた。黒沼の屋敷の通用門をくぐって用人をたずねると、軍右衛門は待ち兼ねていたように彼を自分の長屋へ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
鳴り亘るように感じながら、電話函を出ると、通りがかりの円タクを大声で呼びとめた。通用門を明けさせ、長い廊下にいらいらしながら、僕は宿直室に辿りついた。室内に居合....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
数人 善法院境内の庭。 正面および右側に塀。右側の塀の端に通用門。塀の向こうに寺の建物見ゆ。庭には泉水あり。そのほとりに静かな木立ち、その....
敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
五日の小春凪で暖かいのに、すっぱり頭巾で面を隠した侍と、外に二人都合三人連の侍が通用門を出まして小川町へかゝるから、顔を隠しては居るが、ひょっとしたら彼れが又市....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
射に晃々と数えられて、仰ぐと避雷針が真上に見える。 この突当りの片隅が、学校の通用門で、それから、ものの半町程、両側の家邸。いずれも雑樹林や、畑を抱く。この荒....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
て葬儀を見送った。葬儀の場合にはたとえ君侯といえども柩は表門から出すことは出来ず通用門から出すのである。表門から死人を出すという事は、幕府から賜わった屋敷ゆえ憚....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
にはいかなかった。けれども目につかないふうを装った。そして後に引返しながら劇場の通用門からあわてて出て行った。その後で、彼はそれをみずからとがめた。なぜなら、ケ....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
らば、彼女らはすべてを捨てて顧みず、すべてを冒し、すべてを試みたであろう。中には通用門からぬけ出して、ドロア・ムュール街に臨んだ四階の方まで上ってゆき、高窓から....
火の扉」より 著者:岸田国士
″\支度をした。一徳は長かをはき、康子はコートを羽織つた。 建物の裏手からすぐ通用門を出ると、板べいも立ちならぶ間をぬけて、やゝ広い草地に出る。そこにもさま/....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
から便りもしないが、何うなすったか逢いたい事と思って、筋違橋の戸田様の前へ来て、通用門へ掛ればいゝに、知りませんから表門へかゝり、お役人の居る所へズタ/\の姿を....
幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
の上野停車場と、その隣りの山ノ手線停留場と、その脇の坂本へ行く道が、元は、下寺の通用門で、その脇が一帯に大掃溜であった。その側は折れ曲がって左右とも床見世で、講....
式部小路」より 著者:泉鏡花
、かねがね承ったでありまするで、戸外から拝見いたしましてさえ余りのお見事。つい御通用門を潜りまして、うかうかとこれへ。 実は前もってちょっとお台所口まで、お断....
白い道」より 著者:徳永直
。―― いつものように三吉は、熊本城の石垣に沿うてながい坂道をおりてきて、鉄の通用門がみえだすあたりから足どりがかわった。門はまだ閉まっているし、時計台の針は....
霊廟」より 著者:永井荷風
忘れ果ててしまった霊廟の屋根と門とに心付いたのである。しかしその折にはまだ裏手の通用門から拝観の手続きをなすべき案内をも知らなかったので、自分は秋の夜の静寂の中....
雷門以北」より 著者:久保田万太郎
あしたいかめしいものではなかった。いまの、もっと、向って右よりに、屋根もない、「通用門」といった感じのごくさびしい雑な感じのものだった。 が、それはひとりその....