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速断
「速断〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
速断の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
したと云っても、直ぐに隣の茶漬屋へ駈込みの、箸を持ちながら嗅ぐ事をしない以上は、
速断して、伊勢屋だとは言憎い。 主税とても、ただ通りがかりに、露店の古本の中に....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
人は、私のこの愛の外面の現象を見て、私の愛の本質は与えることに於てのみ成り立つと
速断することはないだろうか。然しその推定は根柢的に的をはずれた悲しむべき誤謬なの....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
やがるんだろ、そんなばかではなかったに。惜しい縁談だがな、断わっちまう、明日|早
速断わる。それにしてもあんなやつ、外聞悪くて家にゃ置けない、早速どっかへやっちま....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
却って神秘説に帰着する。だが、だからと云って之を宗教的だと断定することは、卑俗な
速断と云わねばならぬ。それは無の立場から物を考えるから禅的だというようなものだ。....
「日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
が資本制的制限を有っているから到底社会改良主義以上には出ることの出来ないものだと
速断するが、それは早計も甚だしい。「現段階の自由主義は社会改良主義より逸脱して社....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
が引き潮になったと云ってファッシズムそのものが引き潮になったと思うなら夫は非常な
速断だろう。ましてそれで以てリベラリズムが台頭したなどと云うなら夫は気が早やすぎ....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
事実を伝えているかも知れないが、犯人の本当の心がそれにつくされていると考えるのは
速断にすぎるであろう。犯人というものが本当の心を言わないという事ではなく、人間と....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
に触れて顔や手足を傷つけている場合があるので、お照の死体もその額の疵だけで他殺と
速断するのは危険であることを私たちも考えなければならなかった。殊に医師の検案によ....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
来ない言動に出たりするのを見て、直ちにその少年が生命の健全さを失いつつあるものと
速断してはならないのだ。飛行機でも船でも、その方向を転ずるためには、必ずその胴体....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
本統治者に共通の悩みであったのだ。秀吉は切支丹の布教を外国の日本侵略の第一段階と
速断したが、保守家の家康は自身に侵略精神が稀薄であるから布教を侵略と
速断するよう....
「短歌の詩形」より 著者:寺田寅彦
りも一層非科学的である。同様に例えば日本の短歌の詩形が日本で始めて発生したものと
速断するのも所由のないことであろうと思う。 五七五七七という音数律そのままのも....
「ハイカラ考」より 著者:木村荘八
いうに連なる、年代譲りの言葉――言葉であると同時にその世相風俗――と思っている。
速断の誤解さえ警戒すれば「同じもの」と云っておいてもよいだろう。ただその「年代譲....
「迷信解」より 著者:井上円了
ころ、その後に親戚の者の訃音に接し、されば、過日の夢は全く精神の感通に相違ないと
速断するのである。これは符合というにあらずして、類似というにすぎぬ。また、その時....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
急な傾斜を持つところになると、眼前へあらわれてくる一つ一つの樹幹のうち最も手頃と
速断さるるものを掴まえて登って行く。汗がいち早く頸のほとりを湿してくる。次いで額....
「オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
自分の耳を疑うように、警部はいぶかしげにソーンダイクを見つめていたが、 「それは
速断じゃありませんかね。」といった。 「いや他殺であることは間違いなしです。殺人....