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「逢う瀬〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

逢う瀬の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
になった。末のことなどを見透している余裕《ゆとり》はなかった。その日送りに面白い逢う瀬を重ねているのが、若い二人の楽しい恋のいのちであった。 夕雛の男というの....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
案内して、そこに押し籠めてしまった。自分の手もとに監禁して置けば、お北と幸之助の逢う瀬は絶えると思ったからである。 こうした悪業《あくぎょう》がそれからそれへ....
作家の手帖」より 著者:太宰治
うに、私は子供の頃から聞かされていた。この夜は、牽牛星と織女星が、一年にいちどの逢う瀬をたのしむ夜だった筈ではないか。私は、子供の頃には、あの竹に色紙をつるした....
振動魔」より 著者:海野十三
名声も、灰のように飛んでしまいます。そうなると貴女とだって、今までのように贅沢な逢う瀬を楽しむことが出来なくなるじゃありませんか。僕の病気が再発しても、最早博士....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
大分遅くなった。では俺等は帰るとしよう。左様ならばご老体」 「もうお帰りか、復の逢う瀬」 「アッハッハッハッ芝居がかりだ。だが爺さんじゃあ色気がねえ」 「何んだ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
偶然の出来事ではなくなって、その生活の全部であった。彼がひとりでいる時は、嬉しい逢う瀬の予想と回想とにふけっていた。 ラッパチーニの娘もやはりそれと同じことで....
源氏物語」より 著者:紫式部
ずに、父の太政大臣家へそっと衛門督は来たのであった。夢と言ってよいほどのはかない逢う瀬が、なおありうることとは思えないとともに、夢の中に見た猫の姿も恋しく思い出....
明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
身であるから是非もない。卒業して一本立ちになったらきっと妻に迎えるからと、二人は逢う瀬をたのしんでいた。 ところが、ここに皮肉な悪縁というべきは、女剣劇の梅沢....
かもじの美術家」より 著者:神西清
られながら、それとなしに交わす目まぜ目くばせに限られていた。 二人さしむかいの逢う瀬などは、どだい出来ぬ相談なばかりか、夢にも考えられぬことなのだった。…… ....
ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
い態度を見せるようになった。何か言いかけては、ぶつりと黙りこんでしまう。こっそり逢う瀬を楽しみたいばかりに、彼女が飲まず食わずで我慢して、ともしい財布の底から虎....
雪柳」より 著者:泉鏡花
友吉こそは、年も二十六、やさがた生れ、きりょう好いのについ誘かされて、人目忍びて逢う瀬の数も、…… ――阿漕が浦の度かさなれば、おさだまりで、たちまち近所とな....
私本太平記」より 著者:吉川英治
からいった。 「……けれどただ、余りに先は待ちきれませぬ。今は、今夜のような短い逢う瀬もうれしいのです。小殿、どうぞ近い折に、またお会いして給わりませ」 「む、....
私本太平記」より 著者:吉川英治
、遠い所の御簾側にいた卯木の眸が対象だったことだろう。だが、その夜は、あいにく、逢う瀬にもめぐまれず、しかもそれ以後まもなく、二人の恋は、致命的な事件に会わねば....
大岡越前」より 著者:吉川英治
会って下さいます」 「うむ。御用の前に、来ているからな。……しかし、こうした儚い逢う瀬も、あと幾日のことやら」 「いやです。そんな悲しいことを仰っしゃっては」 ....