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「進物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

進物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
貧困に発した偽りだった。母は「風月」の菓子折につめたカステラを親戚《しんせき》に進物にした。が、その中味は「風月」所か、近所の菓子屋のカステラだった。父も、――....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
の、待遠しくないのじゃありません。算盤《そろばん》を弾く。帳合いを手伝う。中元の進物の差図《さしず》をする。――その合間には、じれったそうな顔をして、帳場格子の....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て、金の伸べ棒入りの蝋燭を持ち込む積りであったのだろうと思われます。そこで、その進物《しんもつ》を国許から江戸へ送って来るには、もちろん相当の侍も付いているに相....
思い出の記」より 著者:小泉節子
らえてくれない老人でございました。ヘルンは面白いと云うので、大きい酒樽を三度まで進物に致しました。それから宅に呼びまして御馳走をしたり、自分でその汚い家を訪ねて....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
対面した。佐和山は、当時浅井方の勇将、磯野丹波守の居城であった。信長からの数々の進物に対して、長政は、家重代の石わりと名づけたる備前兼光の太刀を贈った。この浅井....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
る好風貌、馬上|手綱を掻い繰って、草木森々たる峠路を伊那から諏訪へ歩ませて行く。進物台、挿箱、大鳥毛、供奴、まことに立派な使者振りである。 中一日を旅で暮らし....
天守物語」より 著者:泉鏡花
(その首、血だらけ)これ、姥殿、姥殿。 舌長姥 あいあい、あいあい。 朱の盤 御進物が汚れたわ。鱗の落ちた鱸の鰭を真水で洗う、手の悪い魚売人には似たれども、その....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
上を山の峰へお潜びにてお出ましの節、珍しくお手に入りましたを、御姉君、乙姫様へ御進物の分でござりました。 侍女一 姫様は、閻浮檀金の一輪挿に、真珠の露でお活け遊....
北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
る。 それは根岸|御行の松に住んでいた頃の物語であるが、ある日立派な侍が沢山の進物を供に持たせ北斎の陋屋を訪ずれた。 「主人阿部豊後守儀、先生のご高名を承わり....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ことによって、金権を手中に握ったのである。 これを要約していう時は、金と女とを進物にして、閥をつくったということになる。 で、若年寄をはじめとして、大目附で....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
、あわせて其の結果を一応報告する務めがあるとも思ったので、かれは諸国の大小名から進物として贈って来た修禅寺紙、有馬筆、伊勢|荒布の名産を中間に持たせて行った。微....
三枚続」より 著者:泉鏡花
入の指輪よりも、真先に気が着いたのは、大人が机の傍に差置かれたる、水引のかかった進物の包であった。 今こそ人形町の裏通に母親と自分と二人ぐらし、柳屋という小さ....
間人考」より 著者:喜田貞吉
と往々全く同一の場合に用いられていることである。枕草子に、 チユウゲンなる折に大進物聞こえんとありと、人の告ぐるを聞こしめして、…… めのありしをたゞ取りに取り....
チベット旅行記」より 著者:河口慧海
その人々に礼物としてチベット流のカタというものを遣った。これは白い薄絹です。人に進物をする時分には物にその薄絹を添えて遣るのが礼です。もっともカタばかり贈って礼....
欧米各国 政教日記」より 著者:井上円了
日は鶏卵を人に贈るの風習あり。市中の店には鶏卵をかたどりたる菓子、パン等を売り、進物の用に備う。これけだし、ヤソ蘇生を表する意ならん。 当日、寺院には早朝より....