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「逸する〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

逸するの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
若杉裁判長」より 著者:菊池寛
考えでした。よく裁判の話の時に、引き合いになる格言ですが、「たとい九人の有罪者を逸するとも、一人の冤罪者《えんざいしゃ》を作ることなかれ」という戒《いまし》めで....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
ったのであるから、対岸に友人法水の滞在を知る以上、副院長の真積博士がどうして彼を逸することが出来たであろうか。 また、一方の法水も、外面では渋りながらも、内心....
宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
――また終局をももたぬという近代的な見地に立っていた。彼が物質の集中する時期と散逸する時期とが交互に来ると考えたのはインドにおける静止と発達の両時期の考えを思い....
赤外線男」より 著者:海野十三
訶不思議な「赤外線男」事件を解く一つの重大なる鍵の役目を演じたことを思えば、尚更逸することのできない話である。 なんかと云って筆者は、話の最初に於て、安薬の効....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
するならば、山東炭の価値を無視するを許さぬと共に、更に、山西大炭田の世界的価値を逸するを得ないだろう。」(「日本と山東の特殊関係」十九頁) 山崎は、勿論、こう....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
がいつか一度は真実の事を述べて置かないと、後の裁判に不利で、遂に冤罪を逃れる機を逸すると思って、虚偽の自白である事を申立てたと述べている。別に家を差押えられて、....
地球要塞」より 著者:海野十三
した魔術をごらんに入れる。早く見られよ。さもないと、肝腎《かんじん》のいい場面を逸するであろう” これを聞いた提督は、ぎくんとしたようであった。彼は強いて平心....
火葬国風景」より 著者:海野十三
しいことで、もしそんなことがあれば、鵜の目|鷹の目で珍ダネを探している新聞記者が逸する筈はなかった。しかし最近の新聞記事にはそんな朗かな報道がなかったことから推....
南地心中」より 著者:泉鏡花
苔滑。牡丹を彫らぬ欄干も、巌を削った趣がある。あまつさえ、水底に主が棲む……その逸するのを封ずるために、雲に結えて鉄の網を張り詰めたように、百千の細な影が、漣立....
愛の問題(夫婦愛)」より 著者:倉田百三
恋愛の陶酔は数経験するであろうが、深みと質とにおいて、より貴重なものを経験せずに逸するなら、賢く生きたともいえまい。深い心境を経験しないですますことは、歓楽を逃....
学生と読書」より 著者:倉田百三
のでは満足せしめなくなるものである。それ故に青年時代に高く、美しい書物を読まずに逸することは恐るべく、惜しむべきことである。何をおいても、人間性の霊的・美的教養....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
上にあるものだ。過酷な自己犠牲や、没我的美的陶酔や、世相的卑近感や、又倫常の線を逸する心中もののようなものがあっても、全体としては人間の、人間らしき感情の操練と....
熟語本位英和中辞典」より 著者:斎藤秀三郎
-ghan(ヤタガン)【名】回々教国の劔。 Y※w(ヨー)【自動】(船が)針路を逸する、風下に流される。【名】同上すること。 Y※一檣半の帆船型(小遊船に多し)....
放免考」より 著者:喜田貞吉
なく、金銅の鷹・犬・獅子などから、筆・墨・硯の如きものを付くるに至っては、常軌を逸するも甚だしと謂わねばならぬ。 鎌倉時代に至っても、相変らず盛んに付物を用い....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
して、第一・第二・第三軍を第二軍司令官に指揮せしめ、国境会戦にてフランス第五軍を逸する一大原因をなせり。 戦史の研究に熱心なりしドイツ軍にして然り。人智の幼....