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逸物
「逸物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逸物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
の空だのみにすぎなかった。犬は三頭が三頭ながら、大きさも毛なみも一対な茶まだらの
逸物《いちもつ》で、子牛もこれにくらべれば、大きい事はあっても、小さい事はない。....
「三右衛門の罪」より 著者:芥川竜之介
川村へ御成《おな》りあり。鷹《たか》には公儀より御拝領の富士司《ふじづかさ》の大
逸物《だいいちもつ》を始め、大鷹《おおたか》二基《にき》、※《はやぶさ》二基を※....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
に頼むより、馬に頼みな。泣かずにひとりでお遊び」 ひらりと乗ると、馬はあしげの
逸物、手綱さばきは八条流、みるみるうちに、右門の姿は、深い霧を縫いながらお馬場を....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
の帳場で、近頃塗替えて、島山の令夫人に乗初めをして頂く、と十日ばかり取って置きの
逸物に違いないが――風呂敷包み一つ乗らない、空車を挽いて、車夫は被物なしに駈ける....
「デパートの絞刑吏」より 著者:大阪圭吉
多分|独
逸物であったと思うが、或る映画の試写会で、青山喬介――と知り合いになってから、二....
「血の文字」より 著者:黒岩涙香
ど是だけにても内所向の豊ならぬは思い遣らる。 去れど是等の道具立てに不似合なる
逸物は其汚れたる卓子に※るを聞く、是なん兼て聞きたる藻西太郎の飼犬プラトとやら云....
「運命」より 著者:幸田露伴
僧道衍は、死生禍福の岐に惑うが如き未達の者にはあらず、膽に毛も生いたるべき不敵の
逸物なれば、さきに燕王を勧めて事を起さしめんとしける時、燕王、彼は天子なり、民心....
「四日間」より 著者:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ
筋や、鎗の穂先が煌々と、一隊|挙って五十騎ばかり。隊前には黒髯を怒らした一士官が
逸物に跨って進み行く。残らず橋を渡るや否や、士官は馬上ながら急に後を捻向いて、大....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
突立てぬ。 あわれ乞食僧は留を刺されて、「痛し。」と身体を反返り、涎をなすりて
逸物を撫廻し撫廻し、ほうほうの体にて遁出しつ。走り去ること一町ばかり、俄然留り振....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
を懇望したがていよく断られた。そしてそのかわりに生食には少し劣るが、やはり稀代の
逸物である磨墨という名馬を与えられた。源太はいつたんは失望したが、しかし生食が出....
「郷介法師」より 著者:国枝史郎
微笑して云う。 「では、一鞍せめて見ろ」 「は」と云ったが気乗りせず、 「適当の
逸物ござりましょうか?」 「馬か? 馬ならいくらもある」 「私、駻馬を好みます」....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
意見で。 早速、草を分けて、水へ入れてやりました。が、天から降った、それほどの
逸物だから、竜の性を帯びたらしい、非常な勢で水を刎ねると、葉うらに留まった、秋近....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
をして、お夏の一諾を重ぜしめ、火事のあかりの水のほとりで、夢現の境に誘った希代の
逸物は、制する者の無きに乗じて、何と思ったか細溝を一跨ぎに脊伸びをして高々と跨ぎ....
「鮎の名所」より 著者:北大路魯山人
うとするのは土台無理な話で、かれこれいうのがおかしい。あゆの味は渓流激瀬で育った
逸物を、なるべく早目に食うのでなければ問題にならない。岐阜のあゆも有名ながら、わ....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
えて置け、刀屋になるのなら是を覚えて置かなければならんぜ、粟田口國綱という勝れた
逸物だ、刀屋にならば能く覚えて置け、五|郎入道寳龍齋正宗、伯耆の安綱、皆神棚へ上....