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逼る
「逼る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
逼るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
」 庄三郎の心持ちは、この一語に尽きていた。何が何んだか解らなかった。ただ身に
逼る危険を感じた。だがそのうちに解って来た。解ると同時に彼の心は恐怖を感ぜざるを....
「観画談」より 著者:幸田露伴
が吹寄せた木の葉が黄色くまたは赭く湿れ色を見せており、中ぐらいな大さの鐘が、漸く
逼る暮色の中に、裾は緑青の吹いた明るさと、竜頭の方は薄暗さの中に入っている一種の....
「運命」より 著者:幸田露伴
る、誠に美とすべし。今年七十有一、死|旦夕に在り、といえるは、英雄も亦大限の漸く
逼るを如何ともする無き者。而して、今万物自然の理を得、其れ奚にぞ哀念かこれ有らん....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
な物凄い空間の中に眼が覚める。周囲からは鼓膜でも破り相な勢で鉄と鉄とが相打つ音が
逼る。動悸が手に取る如く感ぜられて、呼吸は今絶えるかとばかりに苦しい。喘いでも喘....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
臙脂屋の方へは会釈も仕忘れ、傍に其人有りともせぬ風で、屹として主人の面を見守り、
逼るが如くに其眼を見た。主人は眼をしばたたいて、物言うなと制止したが、それを悟っ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
積皇子のこの御歌と共に読味うことが出来る。共に恋愛情調のものだが、皇女のには甘く
逼る御語気がある。 ○ 秋の田の穂田を雁がね闇けくに夜のほ....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ょうから」 「値打を失なってしまいたいために、好奇心というものは強い力で、人間に
逼るものでございますよ。好奇心は力でございます」 森林の底と云ってもよかろう。....
「赤格子九郎右衛門」より 著者:国枝史郎
其侍がその編笠へ左手を掛けヒョイと空の方へ向きました。と、其空に物化でもいて彼に
逼るのを払うかのように左手をバラバラと振ったものです。そして殆ど夫れと同時に右手....
「三甚内」より 著者:国枝史郎
込んだ。と、一髪のその間にピューッと草履を投げ付けた。束で払って地に落とし、追い
逼る間にもう一個を、またも発止と投げ付ける。それが武士の額に当たった。 「フーッ....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
左伝次であった。茶無地の被布を纏っていた。 お色は何がなしにゾッとした。凄気が
逼るような気持ちがした。遠く離れて膝を突いた。それからうやうやしく辞儀をした。 ....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
いやっぱり従けて来ていた。しかもこれ迄の従け方とは違い、刀の柄へ手を掛けて、追い
逼るように従けて来る。群集が四辺を領している、こういう場所で叩っ切ったら、かえっ....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
動かざること山の如しといおうか、漣ほどの微動もない。と、ゆっくり幾呼吸、ジリジリ
逼る賊の群を一間あまり引きつけて置いて、「カッ」と一|声喉的破裂、もうその時には....
「取舵」より 著者:泉鏡花
も来らざりければ、五分間も泊らで、船は急進直江津に向えり。 すわや海上の危機は
逼ると覚しく、あなたこなたに散在したりし数十の漁船は、北るがごとく漕戻しつ。観音....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
これはもったいなくもチョコレットの食い残りなんだ。 沢本と戸部と勢い込んで瀬古に
逼る。 戸部 俺によこせ。 瀬古 これはガランスじゃないよ。 戸部 ガラン....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
ず黄なるもの累々として堆く、黄なる水|湛として窪みに溜りをりて臭気紛々として人に
逼る、そのくせ大通にあつては両側に櫛比せる商戸金色|燦爛として遠目には頗る立派な....