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遁す
「遁す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遁すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
圧すべき道徳の上に成り立たねばならぬとの主張の上に据えられた人類の集団生活には見
遁すことの出来ないうそがある。このうそを、あらねばならぬことのように力説し、人間....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
るのが、美しい水晶のような目を、こう、俯目ながら清しゅう※って、列を一人一人|見
遁すまいとするようだっけ。 物見の松はここからも見える……雲のようなはそればか....
「西湖の屍人」より 著者:海野十三
向けた。ことに彼を喜ばせたものは、音響だった。どんな微かな音響であっても、彼は見
遁すことなく、その音響が何から来るものであるかについて、考えるのが楽しみになった....
「生の拡充」より 著者:大杉栄
少数ながらも、しかもすでに断乎たる歩みをこの道に進めている。盲目者の外は何人も見
遁すことのできない、将来社会の大勢を形づくりつつある。 事実の上に立脚するとい....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
とくにして美わしい尊いものを探し回ったのに、また機敏なる態度を持してかりそめにも
遁すまいと注意したのに、握り得たものは何であろう。味わい得たものは何であろう。私....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ような歯を剥いていました。私はそこにあったスタンドを取上げてどんな細かいことも見
遁すまいと、眼を皿のようにして観察してゆきました。 しかし別に手懸りになるよう....
「第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
は居りますか。」 「はい居りますでございますが。」 と立塞がるように、しかも、
遁すまいとするように、框一杯にはだかるのである。 「ちょっとお呼び下さいませんか....
「科学時潮」より 著者:海野十三
を増した。怪人は一同に別れを告げて去った。一行は見す見すこの恐るべき殺人犯人を見
遁すより外に仕方がなかった。 ――それから数分後、一大音響と共に、突如、死の谷....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
中に駈け込んでい、その植込にも警護の乾児、五人がところ塊ってい、 「泥棒!」 「
遁すな!」 と、竹槍、長ドス! しかし見る間に槍も刀も、叩き落とされ刎ね落と....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
いふ中に、又飛礫を雨のごとくに打ければ、総見物ども入乱て、このうちに馬鹿者こそ有
遁すまじとて、太刀かたな引ぬきて、爰に一村かしこひに一むすび、五人三人づつ渡しあ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
ろりと、とんぼう返り、むく起きの頭を投飛ばされたように、木戸口から駆出すと、 「
遁すなよ。」 という声がする。 「追え、追え。」 「娑婆へ出た。」 と口々に....
「活人形」より 著者:泉鏡花
り。 今病人に指さされし時、件の男は蒼くなりて恐しげに戦慄きたり。泰助などて見
遁すべき。肚の中に。ト思案して、「早く、お退きなさい。お前方の入って来る処ではあ....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
充分だったのである。たとえば、棄権したために女王を怒らせたなら、ケンブリッジに隠
遁するがいい、浪費生活から足を洗うがいい、ジョンの徒を解雇するがいい、そして、彼....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
そうした人々が隠遁を決行するまでには、随分心の準備が必要ではあったろうが、いざ隠
遁すれば、それは本質において閑適の詩人であった。というよりは世を見限ることによっ....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
でなく、ややもすれば行き詰まりの人事行政打開に重点を置いて軍拡を企図した形跡を見
遁す事が出来ない。平時兵団の増加は固よりよろしいが、応急のため更に大切なのはシュ....