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「遁れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遁れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
師《ほうし》たちを御召しになって、種々の御祈祷を御上げになりましたが、これも誠に遁れ難い定業《じょうごう》ででもございましたろう。 ある日――それも雪もよいの....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ぬ発見をせねばならなかった。両極の観察者になろうとした時、私の力はどんどん私から遁れ去ってしまったのだ。実験のみをしていて、経験をしない私を見出した時、私は何と....
深夜の市長」より 著者:海野十三
れは落したものか、それとも盗まれたものか分らない」 「どっちにしろ、市長の責任は遁れられぬ。T市五十年の名誉はどうなるのだ。儂の耳に早く入ったからいいようなもの....
恐しき通夜」より 著者:海野十三
機が他の一機を執拗に追いかけているようなのだ。一機が、思いきった逆宙返りをうって遁れると、他の一機も更に鮮かな宙返りをうって迫り、機翼と機翼とがスレスレになるの....
共軛回転弾」より 著者:海野十三
トン、一夜のうちに崩壊す――白堊館最初に犠牲となる。危機一髪、ル大統領、身を以て遁れる。崩壊事件の真相全く不明” “ワシントン崩壊事件の原因は、不可視怪戦車か。....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
んでいる間は渦巻の形が変る。ね、そうだろう。その機を外さず、舟は力漕して渦巻から遁れるのだ。それと同じように、いま本艇から出来るだけ沢山の物品を投げ出して、平衡....
紅玉」より 著者:泉鏡花
き態度にて登場。 初の烏ハタと行当る。驚いて身を開く。紳士その袖を捉う。初の烏、遁れんとして威す真似して、かあかあ、と烏の声をなす。泣くがごとき女の声なり。 紳....
火葬国風景」より 著者:海野十三
うじゃないか」 八十助は鼠谷がおかしいのだと思ったので、いい加減にその相手から遁れるために、乾杯をすすめた。 「ナニ祝杯をあげて呉れるというのかい。そいつは嬉....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
身を殺して仁をなし得れば無上の本懐、君その素志を他に求めて、疾くこの恐しき魔所を遁れられよ。) と遺言する。これぞ、われらの誂じゃ。 蚊帳の中で、少年の魘さ....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
玉塔に、かの玉をこめ置、香花を備え、守護神は八竜|並居たり、その外悪魚|鰐の口、遁れがたしや我命、さすが恩愛の故郷のかたぞ恋しき、あの浪のあなたにぞ……」 そ....
歯車」より 著者:芥川竜之介
僕の心もちは明るい電燈の光の下にだんだん憂鬱になるばかりだった。僕はこの心もちを遁れる為に隣にいた客に話しかけた。彼は丁度|獅子のように白い頬髯を伸ばした老人だ....
「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
わたしはN地に行ってK学校に入るつもりだ。とにかく変った道筋に出て、変った方面に遁れ、縁もゆかりもない人に手頼ろうと思う。母親はわたしのために八円の旅費を作って....
八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
に遺存してこの文豪の悲痛な消息を物語っておる。扇谷定正が水軍全滅し僅かに身を以て遁れてもなお陸上で追い詰められ、漸く助友に助けられて河鯉へ落ち行く条にて、「其馬....
二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
・終焉・葬儀 こう決定してからは一日も早く文学と終始した不愉快な日本の生活から遁れるべく俄に急き立って、入露の準備をするために殆んど毎日、朝から晩まで朝野の名....
活人形」より 著者:泉鏡花
なむ。さらば財産も何かせむ。家邸も何かせむ、皆得三に投与えて、かかる悪魔の火宅を遁れ、片田舎にて気散じに住みたまう気は無きか、連れて遁げんと勧めしかど、否、先祖....