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「遁路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遁路の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
彼は恥ずべき自己《おのれ》を一切の知人や親戚《しんせき》の眼から隠すために種々な遁路《にげみち》を考えて見ないでもなかった。知らない人ばかりの遠い島もその一つで....
一兵卒」より 著者:田山花袋
った。とめどなく涙が流れた。神がこの世にいますなら、どうか救けてください、どうか遁路を教えてください。これからはどんな難儀もする! どんな善事もする! どんなこ....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
思われる。 だが、まあこの回答は何と云う皮肉だ! 支倉が窮余の極、漸く一方に遁路を開いた苦肉の策だった電車未開通説は物の美事に打ちのめされたのだ。即ち支倉が....
伸子」より 著者:宮本百合子
云うのだ。―― 皿を抱えたまま、伸子はじっと立っていた。彼女は、ここまで来ても遁路《にげみち》のなかったのを知らされたような沈着を心に感じた。病気に、心と心と....
渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
うちに我ともなく耽溺して、終には魂が燻り上るほどの嫉妬を感じる正隆は、その苦しい遁路として、彼女を、「見損った」と、強いても思うように努力したのである。 自分....
怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
箱は置いて参りましょう」 良「いや折角だからマア持って行きなさい」 相「何方へか遁路はございませんか」 良「そんな事を云わずズン/″\と行きなさい」 相「さよう....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
口さえ分らなくなりましたほどです。 大袈裟に言えば、それこそ、さあ、と云う時、遁路の無い位で。夏だけに、物の色はまだ分りましたが、日は暮れるし、貴僧、黒門まで....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
。」 うつくしき眉を顰めつつ、はたと得物を取落しぬ。 驚きてわが走り寄る時、遁路あきたれば潜り抜けて、猫は飛び出で、遠く走る音して寂然となりたり。 「どうし....
地上」より 著者:島田清次郎
というのはお前の親類の人かい」国語の先生が言った。平一郎はそこに設けられた慈愛の遁路を感づいたけれど、超意思的に「いいえ」と答えてしまった。 「それじゃ、どうし....
日記」より 著者:宮本百合子
ないか。 ◎ 右のような考は、自由を得、而も外面に波瀾を見せない為に考える卑劣な遁路だろうか? そうではない。 私の心には、真にAと平和に、良心的に、リ....