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遅い
「遅い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遅いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
なったまま、その明るい月の中を車でゆっくりと御出でになりました。が、何しろ時刻が
遅いので、人っ子一人通らない往来には、遠田《とおだ》の蛙《かわず》の声と、車の輪....
「或日の大石内蔵助」より 著者:芥川竜之介
岡なども、今し方あちらへ参って、そのまま坐りこんでしまいました。」
「道理こそ、
遅いと思いましたよ。」
忠左衛門は、煙にむせて、苦しそうに笑った。すると、頻《....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
すこにお前は何をしていたんだ?」
「今日は谷村博士が来るんでね、あんまり来ようが
遅いから、立って待っていたんだけれど、――」
洋一はこう答えながら、かすかに息....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
死人の肉を、啄《ついば》みに来るのである。――もっとも今日は、刻限《こくげん》が
遅いせいか、一羽も見えない。ただ、所々、崩れかかった、そうしてその崩れ目に長い草....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
速力を早めずに堤の上を通り越した。保吉の捉える下《くだ》り列車はこれよりも半時間
遅いはずだった。彼は時計を出して見た。しかし時計はどうしたのか、八時十五分になり....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
る。
悪
芸術的気質を持った青年の「人間の悪」を発見するのは誰よりも
遅いのを常としている。
二宮尊徳
わたしは小学校の読本の中に二宮尊徳....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
へ帰って暮らすことにしよう。」
五分、十分、二十分、――時はこう言う二人の上に
遅い歩みを運んで行った。常子は「順天時報《じゅんてんじほう》」の記者にこの時の彼....
「さまよえる猶太人」より 著者:芥川竜之介
いて、爪を剥《は》がしているクリストの足に、恐る恐る唇をふれようとした。が、もう
遅い。クリストは、兵卒たちに追い立てられて、すでに五六歩彼の戸口を離れている。ヨ....
「星座」より 著者:有島武郎
を感じて彼女はそう思った。
主家の大きな門の前に来た。朋輩たちがおせいの帰りの
遅いのをぶつぶつ言いながら、彼女の分までも働いているだろうと思うと気が気でなかっ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
落胆したが、いや、この悪戯、嬢的に極ったり、と怨恨骨髄に徹して、いつもより帰宅の
遅いのを、玄関の障子から睨め透して待構えて、木戸を入ったのを追かけて詰問に及んだ....
「親子」より 著者:有島武郎
務はどこまでも事務なのだから明らかにしておかなければ私の気が済まんのです。時刻も
遅いからお泊りなさい今夜は」 「ありがとうございますが帰らせていただきます」 「....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
かなる目的のために他の五つの遊星が各自別々の圏内に動いているのであろうか。歩みの
遅い土星は一周に三〇年を要し、かの光り瞬く木星の軌道は一二年を要する。また二年を....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
ば、選挙のときには恐らく政党は演壇に立って言論戦なんかやりません。言論では勝負が
遅い。必ず腕力を用いることになります。しかし警察はピストルを持っている。兵隊さん....
「女客」より 著者:泉鏡花
していたんだね。 まあ、お民さん許で夜更しして、じゃ、おやすみってお宅を出る。
遅い時は寝衣のなりで、寒いのも厭わないで、貴女が自分で送って下さる。 門を出る....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
打帽の頭を竦めて、少し猫背で、水道橋の方へ出向いたあとで。…… 四
遅い午餉だったから、もう二時下り。亭主の出たあと、女房は膳の上で温茶を含んで、干....