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遅刻
「遅刻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遅刻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「父」より 著者:芥川竜之介
つも早いさ。」能勢はこう云いながら、ちょいと小鼻をうごめかした。
「でもこの間は
遅刻したぜ。」
「この間?」
「国語の時間にさ。」
「ああ、馬場に叱《しか》られ....
「或る女」より 著者:有島武郎
で挨拶《あいさつ》をして置いて、貞世を抱いたまま末座に膝《ひざ》をついて、一同に
遅刻のわびをしようとしていると、主人座にすわり込んでいる叔父《おじ》が、わが子で....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
頃には、家の遠い弟子などはもう帰ってしまっていた。栄之丞はここでも主人にむかって
遅刻の詫びをしなければならなかった。 それでも妹の一条が案外に手軽く片付いたの....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
うなものを羽織った男が、自転車を押してはいって来て、柱時計を見上げ、 「あ、五分
遅刻したぞ。この時計遅れてるのんと違うか」そう言いながら、豹一のうしろの机の埃を....
「地球を狙う者」より 著者:海野十三
であったが、そんな割引をしないでも、たしかにかの女は美しかった。 「誰だい、あの
遅刻組は」 僕は、その女から眼をはなさないままでボーイにたずねた。 「あれが火....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
署、師範、中学、新聞社、丸の内をさして朝ごとに出勤するその道その道の紳士の、最も
遅刻する人物ももう出払って、――初夜の九時十時のように、朝の九時十時頃も、一時は....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
く、近来この日ぐらい気もちよく居睡りをしたことがなかった。 お蔭で、埃だらけの
遅刻簿を出して貰って、判子をついたが、庶務課の有象無象からいい加減面白い見世物扱....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
たしは闇夜であったからというのを口実にして弁解したが、キッティに恋びとらしくない
遅刻を反駁されながら、とにもかくにも食卓に着いた。 食卓ではすでに会話に花が咲....
「髪」より 著者:織田作之助
た。ところが驚いたことには、参会者はすでに整列をすましていて、何のことはない私は
遅刻して来た者のようであった。それで私はおそるおそる分会長の前へ出頭すると、分会....
「中毒」より 著者:織田作之助
いというのが情けなくて、教師と入れちがいに教室をぬけ出すことがしばしばであった。
遅刻した時も教室の廊下で一本吸ってからはいった。試験の時は、早く外へ出て吸いたい....
「天衣無縫」より 著者:織田作之助
ろ、こんどはその席を外すということが容易でなく、結局ずるずると引っ張られて、到頭
遅刻してしまったのだ――と、そんな風に考えたかった。つまりは底抜けに気の弱い人、....
「審判」より 著者:カフカフランツ
でいるエプロンの紐を、見下ろした。表でKは、時計を片手にして、もう半時間にもなる
遅刻をこれ以上不必要に延ばさないように、自動車に乗ろうと決心した。カミナーは、車....
「変身」より 著者:カフカフランツ
早くもわかった。――それは支配人自身だった。なぜグレゴールだけが、ほんのちょっと
遅刻しただけですぐ最大の疑いをかけるような商会に勤めるように運命づけられたのだろ....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
晩の出来事は貴方に充分責任があると思うわ。八時にって約束しておきながら、三十分も
遅刻て来るなんて――。それだけだって実に呆れ果てしまう。あの時貴方が先に行ってい....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
てそこに一抹の光明を発見して、彼は多少元気づいた。とにかく一刻も早く出頭しよう、
遅刻して怪しまれては損だ、と思って飛び起きた。宮岡警部の顔は新聞以外でも見ている....