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「遅疑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遅疑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
義血侠血」より 著者:泉鏡花
しくなく、生涯《しょうがい》親類のようにして暮らしたいと言うんでさね」 馭者は遅疑せず、渠の語るを追いて潔く答えぬ。 「よろしい。けっしてもう他人ではない」 ....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
横川も溢れ出したのである。平和は根柢から破れて、戦闘は開始したのだ。もはや恐怖も遅疑も無い。進むべきところに進む外、何を顧みる余地も無くなった。家族には近い知人....
創生記」より 著者:太宰治
ちを、太陽、さんと輝く野天劇場へわざわざ引っぱり出して神を恐れぬオオルマイティ、遅疑もなし、恥もなし、おのれひとりの趣味の杖にて、わかきものの生涯の行路を指定す....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
い得切って居ることであり、又如何にすべきかも考え得抜いて居ることである、今更何の遅疑すべきでもない。 木村父子は佐沼から氏郷へ援を請うた。遠くても、寒気が烈《....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
めには、国を挙げてあらゆる努力を尽さなければならぬ。国運の進展を忘れ国策の遂行に遅疑するが如きは、我国家民族の進展を阻止せんとする退嬰の見解であって、断じて同意....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
なるほど提灯をつけて橋を渡って、こちらへやって来るものがある。何者が来ようとも、遅疑するこちらではない。 しかし、相当の距離もあるとおもったそのうち、だんだん....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
うか士族の出る小学校へ御前方の子弟を出してもらいたいといって勧めた。最初ちょっと遅疑したが、遂に承諾して十幾人かの児童をその通り通学せしむる事になった。この旧穢....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
決意を示す方の態度をしか、すなわち胸に両腕を組む態度をしか取ったことはなかった。遅疑を示す方の態度は、すなわち両手をうしろにまわす方の態度は、彼の知らないところ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
は幸いに同級生の一人が買って持っているのを知った。鶴見はそうと知った上は、少しも遅疑せずに、その友人の家へ出掛けて行った。本は貸してくれるという。同級というだけ....
嘘の効用」より 著者:末弘厳太郎
め諸国において制定された自動車責任法はその実例の一つです。けれども諸国の立法者が遅疑して進まず、またドイツの学者が紙上に無過失責任論を戦わせている間に、事実上一....
決闘」より 著者:神西清
ある。彼は立ちどまって、引き返そうかと思った。が、はげしい落ち着きのない好奇心が遅疑の念に打ち克って、彼はまた歩きだした。 『あの連中は不信仰者ではある。が、い....
翻訳遅疑の説」より 著者:神西清
場の譬話《たとえばなし》に過ぎないけれど、その曳《ひ》く影は意外に深い。 飜訳遅疑の説の成りたつ足場は案外にがっしりしていて、実のところ手も足も出ない感じであ....
握り寿司の名人」より 著者:北大路魯山人
屋ともなんとも表現していない。なに知らぬ者にはちょっと飛び込みにくい様相を呈し、遅疑逡巡、終には素通りする者も少なくなかろう。それがため、店内に居並ぶ客種は普通....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ものです。 気乗のした時遣りたいなどと、云っているのは駄目でしょう。 気兼をして遅疑する人には、調子が乗っては来ますまい。 詩人と名告って出られた以上は、 兵を....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
めには広汎な自由裁断が許され、感激して自主的に活動せしめねばならない。恐れ戦き、遅疑、躊躇逡巡し、消極的となり感激を失うならば自由主義に劣る結果となる。 社会....