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遅筆
「遅筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遅筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
、自尊心の旺盛《おうせい》な彼にとって、もちろん好ましいことではない。しかも彼は
遅筆の方である。彼はそれが自分の無能力に裏書きをするように思われて、寂しくなった....
「狭い一側面」より 著者:宮本百合子
、書き入れ、書きなおしで御本人さえ一寸困るようだとか、多分藤村氏であった、有名な
遅筆だが、(鵠沼の東屋ででもあったのだろう、)おくれて困るので出先まで追っかけて....
「身辺打明けの記」より 著者:宮本百合子
です。 朝、ペンを執るとお茶も飲まず何もしないで一気に書きつづけます。それでも
遅筆の方で、一日平均五枚ぐらいしか書けません。 執筆中、これという気になること....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
をとっていて、制作と同じ緊張のもとにかかれました。大体このごろ私は手紙をかくのが
遅筆になりました。これは決してわるいことではありません。頭の動く敏感さでかかず、....
「落合町山川記」より 著者:林芙美子
、『第七官界彷徨』と云う実に素晴らしい小説を書いた。文壇と云うものに孤独であり、
遅筆で病身なので、この『第七官界彷徨』が素晴らしいものでありながら、地味に終って....
「自作を語る」より 著者:太宰治
張りだ。描写が下手だから苦労するのである。語彙が貧弱だから、ペンが渋るのである。
遅筆は、作家の恥辱である。一枚書くのに、二、三度は、辞林を調べている。嘘字か、ど....
「彼の長所十八」より 著者:芥川竜之介
。殊に母堂に篤きが如し。 四、論争に勇なる事。 五、作品の雕琢に熱心なる事。
遅筆なるは推敲の屡なるに依るなり。 六、おのれの作品の評価に謙遜なる事。大抵の....
「戯作者」より 著者:国枝史郎
蔦屋重三郎の帰った後、京伝は大袈裟にこう云いながら性急に机へ向かったが、性来の
遅筆はどうにもならず、ただ筆を噛むばかりであった。 そこへのっそりと入って来た....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
なお数巻の記述を必要とするであろう。悲しいことには、私は世間の物笑いになるほどの
遅筆である。しかも、今年の十月には私は私の六十六歳の誕辰を迎えようとしている。た....
「恐怖の季節」より 著者:三好十郎
原稿料の点でも「ペイ」しないことは、言うまでもありません。これは特に頭が悪いのと
遅筆のための、私だけの事かもしれません。ですけど、頭が悪かったり
遅筆であるのが、....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
「臆病にされた女」というのをそのうちにあなたのほうに向けてお送りします。私のは、
遅筆で、汚なくて、清書しなくてはだめですから、また、いつか見て下さい。すぐ原稿用....