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「遊子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遊子の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
ゃごとやって見た。その泣き声は吾ながら悲壮の音《おん》を帯びて天涯《てんがい》の遊子《ゆうし》をして断腸の思あらしむるに足ると信ずる。御三は恬《てん》として顧《....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
知る。富士くらい大詩人を持った山が、地球上のどこに存在しているだろう。名もない一遊子ではあるけれど、私も幼い時から、富士の影を浴びて、武蔵相模で育った一児童とし....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
さまは」と、極《きわ》めてしとやかに御辞退を申し上げる。 これは、物に慣れない遊子に対する特殊の待遇ではなく、もし血気に逸《はや》る半可通《はんかつう》が新式....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
て公式の場合には、一にこの緑色の小冊子が日本帝国としての口を利くんだから、天涯の遊子にとっては正に生命から二番目の貴重品である。第一、これがなくては英吉利を出る....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
葉が倒れている。風に海の香いがする。ぱらぱらめいていた。 ここでも、木棚の肌は遊子のナイフのあとで一ぱいだ。 G・H・W――NYC・USA。 J.S.B ....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
やあたらしく生れ出ようとしている英仏合同一大毛織物会社の設立相談会があってことに遊子ぶって中空に冴えわたる月を眺めたりなんかしてると、なかにひとり人見知りをしな....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
い役者ドン・モラガスが、はっが悪い。あわてて深呼吸をしながら遠くへ眼をそらすと、遊子ドン・ホルヘの顔いっばいに月が照らして――ま、そんなことはどうでもいい。 ....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
》)という|玉廻し役《クルウピエ》の懸け声もきかれようという。右行左行するものは遊子粋客にあらざれば、偽装いかめしい|氷海の見物客《メール・ド・グラス》ばかり、....
夏の町」より 著者:永井荷風
あいだあいだ》に漢詩の七言《しちごん》絶句を挿《さしはさ》み、自叙体の主人公をば遊子《ゆうし》とか小史とか名付けて、薄倖多病の才人が都門の栄華を外《よそ》にして....
霊的本能主義」より 著者:和辻哲郎
上月の下、潺湲の流れに和して秋の楽匠が技を尽くし巧みを極めたる神秘の声はひびく。遊子茫然としてこの境にたたずむ時胸には無量の悲哀がある。この堪え難き悲哀は何をか....
彼等流浪す」より 著者:小川未明
と、クロポトキンは言っている。なぜなら、自然のみが、どこに行っても、莞爾として、遊子を懐にいれて欺かないからだ。しかし、変らないというばかりでは、このことは説明....
三国志」より 著者:吉川英治
歌い出した。 紅牙催拍シテ燕ノ飛ブコト忙シ 一片ノ行雲画堂ニ到ル 眉黛促シテ成ス遊子ノ恨ミ 臉容初メテ故人ノ腸ヲ断ツ 楡銭買ワズ千金ノ笑 柳帯ナンゾ用イン百宝ノ....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
そばれた方だが、ただ一つ、俳聖芭蕉と、あの世の隣組になれたことは、今日そこを訪う遊子にとっても、何か、気もちの救われるような感じを持たれるにちがいない。そして、....