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「遊弋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遊弋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
星座」より 著者:有島武郎
が畳を上げて物置になっていて、どういうものか鼠の奴がうんといる。夜になると盛んに遊弋《ゆうよく》をやって賑《にぎ》やかでいい。けれどもだ、俺の所には喰うものはな....
吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
予《あらかじ》め逃げる時間を勘定に入《い》れて、捕《とら》えらるる危険のない所で遊弋《ゆうよく》をしている。彼等が何をしているか東の離れにいる主人には無論目に入....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
たまま眼を醒して、一ところに固っていた二ひきが悠揚と連れになったり、離れたりして遊弋し出す。身長身幅より三四倍もある尾鰭は黒いまだらの星のある薄絹の領布や裳を振....
女肉を料理する男」より 著者:牧逸馬
、女たちは、芝居や寄席《よせ》のはじまる八時半ごろから、この付近の大通りや横町を遊弋《ゆうよく》して、街上に男を物色《ぶっしょく》する。そして、相手が見つかると....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
あるがダンダラ縞のモノスゴイ藪蚊がツーンツーンと幾匹も飛んで来て、筆者の鼻の先を遊弋する。動きの取れない筆者の手の甲や向う脛に武者振付いて遠慮なく血を吸う。痒く....
あひると猿」より 著者:寺田寅彦
。 鴨羽の雌雄夫婦はおしどり式にいつも互いに一メートル以内ぐらいの間隔を保って遊弋している。一方ではまた白の母鳥と十羽のひなとが別の一群を形づくって移動してい....
世界の一環としての日本」より 著者:戸坂潤
た。尤も決して律気な又は細心な勉強家ではなかった。彼は一党を引き具して四条通りを遊弋し、深更下宿に帰ることを習慣とした。一党の方はそのまま寝て了うのだが三木だけ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
すばらしいものでした。もしこの船が鯨と同じ方向に、その中に挟まれて鯨の行く通りに遊弋《ゆうよく》することができたら、なお一層の愉快だと感ぜしめずにはおきません。....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
つかまえて、すんでのことに縄をかけた奴だ。そう思って見ると、兵助を後ろに、左右に遊弋《ゆうよく》している五ツ六ツの水瓜頭《すいかあたま》も、みんなあいつの身内と....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
でもない。 今日は、心置きなく自分の住宅区域の安全地帯に、誰|憚《はばか》らず遊弋《ゆうよく》することができる。この幾カ月というもの、米友の天地が急に狭くなっ....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。 無難とはいうが、なにしろ、一葉の自製船を以て、世界の太平洋中に約一カ月を遊弋《ゆうよく》したものですから、その苦心と、操縦は、容易なものではないが、運よ....
チューインガム」より 著者:寺田寅彦
銀座を歩いていたら、派手な洋装をした若い女が二人、ハイヒールの足並を揃えて遊弋していた。そうして二人とも美しい顔をゆがめてチューインガムをニチャニチャ噛み....
沈黙の水平線」より 著者:牧逸馬
イン》は尚三箇月間、責任の捜索船を置いて、延べ航程一万五千海里も附近一帯の海上を遊弋《ゆうよく》させてワラタ号の破片でもと探し求めたが、これ又何の得るところもな....
スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
いを嗅ぐためのように見えた。雪のように白い鵞鳥は堂々たる艦隊をなして、近くの池で遊弋し、家鴨の船隊をまもっていた。七面鳥の連隊は庭で鳴きあるき、ほろほろ鳥は、そ....
明石鯛に優る朝鮮の鯛」より 著者:北大路魯山人
。その巣窟をば、彼らは産卵、あるいはなにかの作用で大部分が東方日本の方へ向かって遊弋し、その途次、すなわち玄海灘を押し切って東漸し、大多数が瀬戸内海に入り、また....