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運ぶ
「運ぶ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
運ぶの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
》彼女に気がかりだったのは父が書画《しょが》骨董《こっとう》までもずんずん妾宅へ
運ぶことだった。お鈴はお芳が女中だった時から、彼女を悪人と思ったことはなかった。....
「母」より 著者:芥川竜之介
不思議そうに籠の下の男を眺めている。男はその度にほほ笑《え》みながら、葉巻を口へ
運ぶ事もある。あるいはまた人と話すように、「こら」とか「どうした?」とか云う事も....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
は、二足《ふたあし》三足《みあし》蹌踉《そうろう》と流れの汀《なぎさ》から歩みを
運ぶと、必死と食いしばった歯の間から、ほとんど呻吟する様な声で、「好《い》いか渡....
「点鬼簿」より 著者:芥川竜之介
どんなものだったか覚えていない。唯《ただ》僕の父の死骸《しがい》を病院から実家へ
運ぶ時、大きい春の月が一つ、僕の父の柩車《きゅうしゃ》の上を照らしていたことを覚....
「星座」より 著者:有島武郎
前、何んとか御挨拶をしないじゃならんぞ。お父さんもそうたびたび千歳からかけて足を
運ぶわけにはいかないしよ」
と父は、いっそう腕を固く組んで、顔を落して説き伏せ....
「親子」より 著者:有島武郎
集まって来た小作人を相手に早田が小さな声で浮世話をしていた。内儀さんは座敷の方に
運ぶ膳のものが冷えるのを気にして、椀のものをまたもとの鍋にかえしたりしていた。彼....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
から視線の上と下とで空気の密度と屈折率の差違のあるために生ずる現象であるが、光を
運ぶエーテルの場合にはその密度や屈折率が光の放射方向に対していかなる向きにでも、....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
ぎないことを、あとで聞いてちと鬱いだほどである。が、とにかく、これは問屋、市場へ
運ぶのではなく、漁村なるわが町内の晩のお菜に――荒磯に横づけで、ぐわッぐわッと、....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
つでね。案ずるまでもありませんや、お道姉さんが心入れのお手料理か何かを、旅館から
運ぶんだね。 (うまい、ああ旨い、この竹輪は骨がなくて難有い。) 余り旨そうな....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
引込んだのである。ここにおいて、番町さんの、泉、はじめて悠然として、下足を出口へ
運ぶと、クローク(預所)とかで、青衿が、外套を受取って、着せてくれて、帽子、杖、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
別に裏庭へ突き出でた角座敷の六畳に、先生が寝ている筈。 その方にも厠はあるが、
運ぶのに、ちと遠い。 件の次の明室を越すと、取着が板戸になって、その台所を越し....
「狂女」より 著者:秋田滋
独逸語で何やら命令を下した。 するとまもなく、幾たりかの兵士が、負傷した者でも
運ぶように蒲団の両端をになって、その家から出てゆくのが見えた。すこしも形の崩れぬ....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
六 いかに、あの体では、蝶よりも蠅が集ろう……さし捨のおいらん草など塵塚へ
運ぶ途中に似た、いろいろな湯具|蹴出し。年増まじりにあくどく化粧った少い女が六七....
「私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
京市会議員の選挙からは芽が出て、昭和十一年の衆院議員選挙に当選し、トントン拍子に
運ぶようになった。そうなってくると時の社会大衆党本部では、君はどこで選挙をやって....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
築中の同愛病院である。高い鉄の櫓だの、何階建かのコンクリートの壁だの、殊に砂利を
運ぶ人夫だのは確かに僕を威圧するものだった。同時にまた工業地になった「本所の玄関....