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遍く
「遍く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遍くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
い顔を丹念に拾っていった。だがどれ一つとして、自分の心当たりのそれがなかった、何
遍くりかえして見ても、同じだった。 「ふむ、すばらしいぞ。これは、新しいロマンス....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
り腰障子を左へ開けると、十時過ぎの太陽が、向うの井戸端の、柳の上から斜っかけに、
遍く射込んで、俎の上に揃えた、菠薐草の根を、紅に照らしたばかり。 多分はそれだ....
「妖術」より 著者:泉鏡花
と歎息するように独言して、扱いて片頬を撫でた手をそのまま、欄干に肱をついて、
遍く境内をずらりと視めた。 早いもので、もう番傘の懐手、高足駄で悠々と歩行くの....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
て、諸芸に携わり、風雅を楽む、就中、好んで心学一派のごとき通俗なる仏教を講じて、
遍く近国を教導する知識だそうである。が、内々で、浮島をかなで読むお爺さん――浮島....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
掌で蔽って余さず嗅ぐ。 これが薬なら、身体中、一筋ずつ黒髪の尖まで、血と一所に
遍く膚を繞った、と思うと、くすぶりもせずになお冴える、その白い二の腕を、緋の袖で....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
と言うのである。 紳士、学生、あえて映画の弁士とは限らない。梅水の主人は趣味が
遍く、客が八方に広いから、多方面の芸術家、画家、彫刻家、医、文、法、理工の学士、....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
衣の上へ膚が透き、真白な乳が膨らむは、輝く玉が入ると見えて、肩を伝い、腕を繞り、
遍く身内の血と一所に、月の光が行通れば、晃々と裳が揺れて、両の足の爪先に、美い綾....
「池袋の怪」より 著者:岡本綺堂
邸に居堪れず、浅草並木辺の実家へ一先お引移りという始末。この事、中屋敷下屋敷へも
遍く聞え渡ったので、血気の若侍共は我れその変化の正体を見届けて、渡辺綱、阪田公時....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
がある。こんなに何から何まで、してもらっては、(ありがとう)などいう言葉を、何百
遍くりかえしても足りないと、新子は思った。 「バーテンダーは、頼んでおきましたよ....
「月世界跋渉記」より 著者:江見水蔭
だ洋盃を高く差し上げ、桂田博士の音頭で「日本帝国万歳※」 を三唱すると、その声は
遍く洞内に響き渡って、谺はさながら月がこの一隊を祝するように、「月世界探検隊万歳....
「キド効果」より 著者:海野十三
、短日月の間に更に興奮曲線の分解に成功し、異常興奮曲線を摘出したばかりか、人間に
遍く異常性素質の潜在していることを指摘し、これをキド現象と名付けたのだから、誰し....
「山吹」より 著者:泉鏡花
り、だらしなく紐を引いてぶら下りたる財布を絞り突銭する)弘法様も月もだがよ。銭も
遍く金剛を照すだね。えい。(と立つ。脊高き痩脛、破股引にて、よたよた。酒屋は委細....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
、その以心伝教で会得した。一念開悟、生命の活法を獲受して、以来、その法をもって、
遍く諸人に施して、万病を治するに一点の過誤がない。世には、諸仏、開祖の夢想の灸と....
「妖怪学」より 著者:井上円了
入道前関白太政大臣様」といおうの――「法性寺入道前関白|云云」と呼気を切らずに三
遍くり返しいうときは、落つるなり。 (七)やけどを治する呪術 「さる沢の池....
「妖怪漫談」より 著者:岡本綺堂
人魚を射たという話を載せているが、他には人魚の話を書いたのは少く、人魚という名が
遍く知られている割合に、その怪談は伝わっていないらしい。 支那にも、我国にも怪....