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過不足
「過不足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
過不足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「第四の夫から」より 著者:芥川竜之介
少しも不便を感じていない。他の三人もまた同様であろう。妻はこの四人の夫をいずれも
過不足なしに愛している。僕はまだ日本にいた時、やはり三人の檀那《だんな》と共に、....
「或る女」より 著者:有島武郎
ましいと思わないではなかった。ことに婆やと定子とを目の前に置いて、つつましやかな
過不足のない生活をながめると、葉子の心は知らず知らずなじんで行くのを覚えた。
....
「古典風」より 著者:太宰治
の叔父、クロオジヤス。当時すでに、五十歳を越えていた。宮廷に於ける諸勢力に対し、
過不足ないよう、ことさらに当らずさわらずの人物が選定せられたのである。クロオジヤ....
「土曜夫人」より 著者:織田作之助
足ともいえず、千行を過とするわけにもいかないが、しかし、人間のある瞬間の表情を、
過不足なく描写する方法は、一体どこにあるのだろうか。 ありきたりの言葉、ありき....
「わが町」より 著者:織田作之助
もらほか。喞筒押しでなくても、ホース持ちなら出来るやろ」 ホース持ちは、空気の
過不足の合図を受ける大切な役目で、昔は潜水夫の妻がこれをしていたのである。 鶴....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
万吉郎は、いまや文字どおり鬼に金棒の強味を加えたわけであった。ヒルミ夫人は自らも
過不足なきまでに満足感に達し、万吉郎はいよいよ強豪ぶりを発揮していった。しかも万....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
てどうにも仕様がないのだ。一たい、この、室内に山積し散乱している物品を白眼んで、
過不足なくその全部を入れるに足る容積のトランクなり鞄なりを予め想定するには、実に....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
かし、法を運用する者は、自分が「ナマ」の人間であってはならぬこと、感情なく、ただ
過不足なく判断する機械のようなものだということを忘れて仕事に当ってはいけないだろ....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
四 記代子はかなり巧みに芝居を演じた。小娘としては出来すぎたほど
過不足なくやったつもりであったが、青木の鋭いカンをごまかすことは不可能であった。....
「戦後合格者」より 著者:坂口安吾
は、空想や理想の上には有り得ても、実際としては先ず実現の見込みはない。又、万人が
過不足なく公平に幸福だということも決して有りうべきことではない。 私は共産主義....
「可能性の文学」より 著者:織田作之助
説が作られて行くべきで、日本の伝統的小説の約束は、この小説に於ける少年工の描写を
過不足なき描写として推賞するが、
過不足なき描写とは一体いかなるものであるか。われ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
幾キロ施したから、それで幾キロの米の収穫があると決まっているものではなく、いくら
過不足なく施したにせよ、その年の天候いかんによってはなんらの甲斐もないことさえあ....
「クリティシズムと認識論との関係」より 著者:戸坂潤
これは判り切った点であるようで、併しそれが約束する筈の諸結論は、必ずしも世間から
過不足なしには尊重されていない。――クリティシズムは創作活動が衰えた時盛んになる....
「枯尾花」より 著者:関根黙庵
れず、右の鮨を残らず引受け、近所へ配って回向をしてやったそうだが、配る家が一軒も
過不足なく、その数通りであったと云うは一寸変っている怪談であろう。 ◎紀州高野山....
「火を点ず」より 著者:小川未明
いいました。 「また、上がりました。」と、男は答えながら、五|勺のますにほとんど
過不足なく平らかに石油を満たして漏斗にわけました。そして、もう一|杯入れるために....