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「道端〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

道端の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
ますか。」 「なぜ、貴女?」 「真中に恐しい穴がございますよ。」 「ああ、それは道端の井戸なんです。」 と透しながら早瀬が答えた。古井戸は地獄が開けた、大なる....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
の尖には引っ掛けなかった。行ると、案山子を抜いて来たと叱られようから。 婦は、道端の藪を覗き松の根を潜った、竜胆の、茎の細いのを摘んで持った。これは袂にも懐に....
栃の実」より 著者:泉鏡花
ておいでなせえましよ。」……畷は荒れて、洪水に松の並木も倒れた。ただ畔のような街道端まで、福井の車夫は、笠を手にして見送りつつ、われさえ指す方を知らぬ状ながら、....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
それでさえ、聞けよ。――心中の相談をしている時に、おやじが蜻蛉釣る形の可笑さに、道端へ笑い倒れる妙齢の気の若さ……今もだ……うっかり手水に行って、手を洗う水がな....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
涼しい、姿の長い、裾の薄|蒼い、悚然とするほど美しらしいお人が一方。 すらすら道端へ出さっせての、 (…………) 爺どのを呼留めて、これは罪人か――と問わし....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
ず。一人は霜降の背広を着たのが、ふり向いて同じように、じろりと此方を見たばかり。道端の事、とあえて意にも留めない様子で、同じように爪さきを刻んでいると、空の鵄が....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
。」 運転手は何を思ったか、口笛を高く吹いて、 「首くくりでもなけりゃいいが、道端の枝に……いやだな。」 うっかり緩めた把手に、衝と動きを掛けた時である。も....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
――しかし、そればかりではありません。 ――片原の町から寺へ来る途中、田畝畷の道端に、お中食処の看板が、屋根、廂ぐるみ、朽倒れに潰れていて、清い小流の前に、思....
縷紅新草」より 著者:泉鏡花
いようですわ。――でも自害をなさいました、後一年ばかり、一時はこの土地で湯屋でも道端でも唄って、お気の弱いのをたっとむまでも、初路さんの刺繍を恥かしい事にいいま....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
たか、と仰っしゃるか……ホホまさかそんなことはございませぬ。すれ違う時にちょっと道端に避けて首をさげる丈でございます。それすら私には気づまりに感じられ、ツイ外へ....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、肱を一杯に張って、片脇に盥を抱えた……と言う方が早い。洗濯をしに来たのである。道端の細流で洗濯をするのに、なよやかなどと言う姿はない。――ないのだが、見ただけ....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
…――実は讖をなす事になるんです。」 と言って、小山夏吉は一息した。 「やがて道端の茶店へ休むと――薄曇りの雲を浴びて背戸の映山紅が真紅だった。つい一句を認め....
三枚続」より 著者:泉鏡花
が引込んだんです。 幾ら相場が狂ったって、日本橋から馬車に乗って、上野を歩で、道端の井戸で身体を洗って、蟋蟀の巣へ入ってさ、山出しにけんつくを喰って、不景気な....
雪柳」より 著者:泉鏡花
込んだ敷石に、いま打った水らしい、流れるばかり雫が漾う網代戸を左右に開いた、つい道端の戸口に、色白な娘が一人、芸妓の住居でないから娘だろう。それとも年の少いかみ....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
た「富士見の渡し」を思い出した。が、渡し場らしい小屋はどこにも見えない。僕は丁度道端に芋を洗っていた三十前後の男に渡し場の有無をたずねて見ることにした。しかし彼....