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道草
「道草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
道草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
いで門跡《もんぜき》さまの方まで参りましたから」と、彼女は言った。 使いに出て
道草を食ってはならない。用がなければ滅多に来るなと栄之丞はふだんから言い聞かせて....
「赤外線男」より 著者:海野十三
して紫から赤までしか見えないなんて、貧弱きわまる視力ではある。 話が色盲の方へ
道草をしてしまったが、この赤外線という光線は、人間の眼に感じないとされているだけ....
「蠅男」より 著者:海野十三
たり、それからまたセンチメンタルな同情心を起して麗人をかばってみたり、いろいろと
道草を喰っていたのだ。翻然と、探偵帆村は勇敢に立ち上った。 (一体、蠅男というや....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
らの究極の目的地は火星よりももっと遠方の空間に有るわけなんだろう。月世界へ寄って
道草を喰うのはつまらんじゃないか」 「そうじゃないよ、岸君。月世界は地球に一等近....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
を見て、きょとんと生真面目。 成程、この小父者が改札口を出た殿で、何をふらふら
道草したか、汽車はもう遠くの方で、名物焼蛤の白い煙を、夢のように月下に吐いて、真....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
横舐を、遣ったのは、魚勘の小僧で、赤八、と云うが青い顔色、岡持を振ら下げたなりで
道草を食散らす。 三光町の裏小路、ごまごまとした中を、同じ場末の、麻布田島町へ....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
はあるまいと思う。たとい地理にしていかなりとも。 ――松島の道では、鼓草をつむ
道草をも、溝を跨いで越えたと思う。ここの水は、牡丹の叢のうしろを流れて、山の根に....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の豪華である。 即時、その三本に二貫たして、円タクで帰ったが、さて、思うに大分
道草――(これも真珠としよう)――真珠を食った。 茅町の弦光の借屋の膳の上には....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
親船らしい、艪を操る児の丈より高い、他の舷へ波を浴びせて、ヤッシッシ。 いや、
道草する場合でない。 廉平は、言葉も通じず、国も違って便がないから、かわって処....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
の客人なんざ、今聞いたようだと、夢てふものを頼み切りにしたのかな。」 と考えが
道草の蝶に誘われて、ふわふわと玉の緒が菜の花ぞいに伸びた処を、風もないのに、颯と....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
のに、音のしなかったのも頷かれる。 婦は、水ぎわに立停まると、洗濯盥――盥には
道草に手打ったらしい、嫁菜が一束挿してあった――それを石の上へこごみ腰におろすと....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
偈を一首作ってほのかに心の隅に波紋を描く悲しみの情を写し現した。それが済むと何か
道草を喰ったあとのような焦立たしさで再び座禅思惟に心身を浸した。全く取りかかりの....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
方法手段であることが判ります。方法手段に捉われて、目的を忘れてしまうのは、人世の
道草であります。苦労のしくずれは、この途中の苦労に捉われ、目的地を忘れた
道草の人....
「耳香水」より 著者:大倉燁子
見て、始めて彼女が何人であるかを知りました。それはK夫人だったのです。 飛んだ
道草をしてしまって――、キールン・ホテルに着きました時は、もう何もかも片付いた後....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
満ではないが、輝かしい成功を夢見る自分がこんなところに埋もれて暮すのはたいへんな
道草を食っているような気がし始めたのである。 出入りの廃品回収業者に『もう少し....