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達筆
「達筆〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
達筆の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「路上」より 著者:芥川竜之介
十分ばかりの間に、造作なく「倦怠」を読み終るとまた野村の手紙をひろげて見て、その
達筆な行《ぎょう》の上へ今更のように怪訝《かいが》の眼を落した。この手紙の中に磅....
「世相」より 著者:織田作之助
村第十二組、楢橋廉吉(五十四歳)A型、勤務先大阪府南河内郡林田村林田国民学校」と
達筆だが、律義そうなその楷書の字が薄給で七人の家族を養っているというこの老訓導の....
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
かと思い、能く能く鑑定して見たが全く違って居る、客帳のは余ほど綺麗な筆蹟で珍しい
達筆と云っても好い、多分怪美人が自分で書いたので有ろう、仲々電報の頼信紙に在った....
「乱世」より 著者:菊池寛
の後、代りに、その中央の獄門台に、若い武士の首級が一つ晒されていた。 捨札には
達筆で、次のように書いてあった。 桑名藩 新谷格之介 右者京畿ニ於テ錦旗ニ発....
「幽霊妻」より 著者:大阪圭吉
れました。むろんその手紙は、私もあとから見せていただきましたが……なんでも、余り
達筆ではございませんでしたが、それでも一生懸命な筆跡で…… 御|贔屓の奥様。 い....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
い封筒を受取った。それは思いがけなく逃走中の支倉喜平から来たもので、巻紙に肉太の
達筆で長々と認めてあった。何となく圧迫されるような気持で封を切った石子刑事は、忽....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
校の同窓会に招ばれていって、一本の福引を引かされた。それを開いてみると、沂水流の
達筆で「鼠の顔」と認めてあった。 「十四子さん、貴女の福引はどんなの、ね、内緒で....
「アンゴウ」より 著者:坂口安吾
ます七月五日午後三時」 全部でこういう文句になる。あきらかに暗号だ。 神尾は
達筆な男であったが、この数字はあまり見事な手蹟じゃなく、どうやら女手らしい様子で....
「巷談師」より 著者:坂口安吾
論文の出版社を至急教えてくれ、というハガキであった。ユイショある流儀を感じさせる
達筆だ。我々から見て、文字に二つの区別がある。文学を愛好する者の筆蹟と、そうでな....
「フシギな女」より 著者:坂口安吾
がえて、訂正しているが、その訂正の仕方も小器用で、いかにも馴れた感じである。字も
達筆で、金釘流ではなく、¥の横文字もなれたもの。それに面白いのは、弐の字である。....
「夜光虫」より 著者:織田作之助
り東へ行くと、友人の家があった。 「伊部恭助」 稍左肩下りの、癖のある、しかし
達筆の字で書かれた標札を見た途端、小沢は、 「そうだ、伊部の奴は高等学校の時から....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
書いた玉露の値段表が出て来た。 母は習字のほうは相当やっていたので、なかなかの
達筆でかかれてあった。 一、亀の齢 一斤ニ付 金三圓 一、綾の友 同....
「ある恋の話」より 著者:菊池寛
、中から出たのは、思いがけなく一通の手紙でした。それには、役者とは思われない程の
達筆でこまごまとかいた長い文句がありました。もうたしかな事は忘れてしまったが、何....
「わが母を語る」より 著者:上村松園
ました。母はそんなところで、古い絵の本を買うてそれを写しておりました。字はとても
達筆でした。茶の壺に貼る茶名をかいた紙が、赤くなると、母は自分で書いてはりかえま....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
存している―― 古今独歩と大きく書いて、下に国北生と署名したのは、独歩が酔余の
達筆である。自分の似顔に鬼のような角を生やして、毒哺生と名を署したのも彼である。....