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遠ざかる
「遠ざかる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠ざかるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
も、事実としてするのだから仕方がない。と云う意味は、それだけもう客観的の事実から
遠ざかると云う事です。そうでしょう。だから一見|当《あて》になりそうで、実ははな....
「少年」より 著者:芥川竜之介
《か》け出して行った。
「やあい、お母さんって泣いていやがる!」
保吉は次第に
遠ざかる彼等の声を憎み憎み、いつかまた彼の足もとへ下りた無数の鳩にも目をやらずに....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
近いものだった。僕等は風の運んで来る彼等の笑い声を聞きながら、しばらくまた渚から
遠ざかる彼等の姿を眺めていた。
「感心に中々勇敢だな。」
「まだ背《せ》は立って....
「或る女」より 著者:有島武郎
腹部に感じていた。船に乗った当座は、しばらくの間は忘れるようにこの不快な痛みから
遠ざかる事ができて、幾年ぶりかで申し所のない健康のよろこびを味わったのだったが、....
「或る女」より 著者:有島武郎
苔香園の庭の中をさまよった。店の人たちは二人の心を察するように、なるべく二人から
遠ざかるようにつとめてくれた。十二月の薔薇《ばら》の花園はさびしい廃園の姿を目の....
「星座」より 著者:有島武郎
間をおいて襲ってきた。
大通りまで来て園は突然足をとどめた。おぬいさんの家から
遠ざかるにしたがって、小刻みに震う前髪がだんだんはっきりと眼につきだして、とうと....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
た、しゃん、しゃん、しゃん、しゃんしゃん、しゃんしゃん、――見る間《ま》に眼界を
遠ざかる。
婦人《おんな》は早や衣服《きもの》を引《ひっ》かけて縁側《えんがわ....
「三つの窓」より 著者:芥川竜之介
た以上、ボオトをおろす訣には行かなかった。水兵はブイにとりついたものの、見る見る
遠ざかるばかりだった。彼の運命は遅かれ早かれ溺死するのに定まっていた。のみならず....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
が何等かの意味に於てその緊張度を失い、現実への安立から知らず知らず未来か過去かへ
遠ざかる時、必ずかかる本能の分裂がその結果として現われ出るのを私はよく知っている....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
生じ、そのためにそれらの近日点(すなわち、軌道の上で太陽に最も近い点)は太陽から
遠ざかることがあり得る。』それでここまではビュッフォンの考えは正しい。『しかし』....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
とへは、鋲の目が出て髯を揉むと、「高利貸が居るぜ。」とか云って、貸本の素見までが
遠ざかる。当り触り、世渡は煩かしい。が近頃では、女房も見張りに馴れたし、亭主も段....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
は、成るべく早く醜い地上の執着から離れ、成るべく速かに役にも立たぬ現世の記憶から
遠ざかることでございます。私どもはこれでもいろいろと工夫の結果、やっとそれができ....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
電気的作用を示さない。しかし、コイルなり、針金なりが、磁石の方へ近づくか、または
遠ざかる場合には、その近づくかまたは遠ざかりつつある間だけ、この変化と共に電流の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
西より、衝と寄っては颯と分れ、且つ消え、且つ顕れ、轣轆として近き来り、殷々として
遠ざかる、響の中に車夫の懸声、蒸気の笛、ほとんど名状すべからざる、都門一場の光景....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
する如きを見るのみにして、樹林無く、屋舎無く、人語馬声無く、一刻一刻、人間界より
遠ざかる。唯、蚊の襲来の多からざると、涼風衣袂に満ちて、日中の炎塵を忘るるとは、....