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「遠巻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遠巻の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
めて来たのを、女将《おかみ》が手ぎわよく追い払ったので、近づきこそはしなかったが遠巻きにして葉子の挙動に注意している事などを、女将は眉《まゆ》をひそめながら話し....
卑怯者」より 著者:有島武郎
の子供には皆目見当がつかないのだ、と彼は思った。 群がり集まって来た子供たちは遠巻きにその一人の子供を取り巻いた。すべての子供の顔には子供に特有な無遠慮な残酷....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
彼女はまだここらをさまよっていたらしく、あまたの犬は牙《きば》をむき出して彼女を遠巻きにしているのであった。犬のなかには熊のように大きいのもあった。虎のように哮....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
なんだか、おかしいぞ。危いから、近よっちゃいけない」 人々は、ビール樽の死体を遠巻きにして、ワッワッと、騒いでいた。 「男爵が、居ないぞ」 「真弓も、どこかへ....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
います」 警部は脹れ面をして、支配人の云う通り窓際へ立った。いままで、遠慮して遠巻にしていた女給や客達も、この時ぞろぞろと窓の方へ雪崩れよって来た。支配人が云....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
材木堀に無償で置いてくれ、生徒を世話してくれたり、見張りの船を漕いでくれたりして遠巻きに自分に絡まっている材木屋の五十男貝原を見直して来た。必要がいくらかでも好....
食魔」より 著者:岡本かの子
って盲人の鼻詰り声、娘たちの若い笑い声。 若者の鼈四郎は、こういう景致や物音に遠巻きされながら、それに煩わされず、逃れて一人うとうとする束の間を楽しいものに思....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
あるまい、鬼がこんな姿に変じて我々をあざむくのであろうなどと言いながら、しばらく遠巻きにして窺っていると、女はやがて眼をあいて、あたりを見まわして驚き怖れるよう....
○○獣」より 著者:海野十三
士のように只一人、凛然とつっ立っていた。警官隊や消防隊は、はるかに離れて、これを遠巻きにしていた。 そのとき敬二は、胸をつかれたようにはっと感じた。それは外で....
南地心中」より 著者:泉鏡花
、と視めたのは、皆見世ものの立幟。 太鼓に、鉦に、ひしひしと、打寄する跫音の、遠巻きめいて、遥に淀川にも響くと聞きしは、誓文払いに出盛る人数。お珊も暮るれば練....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
へ乗り出して、何者に殺されたのか、誰にも想像が付かなかった。かがり火の下の死骸を遠巻きにしている人達は思い思いの推量をくだして、がやがやと立ち騒いでいた。 雛....
馬妖記」より 著者:岡本綺堂
た。 怪しい影は水のなかを行く。それを取逃がしてはならないというので、侍は岸を遠巻きにした。足軽組は五十挺の鉄砲をそろえて釣瓶撃ちにうちかけた。それに驚かされ....
坑鬼」より 著者:大阪圭吉
光に照らされながら、閉された採炭場の防火扉の前に、意味ありげに二つも並んだ屍体を遠巻きにして、前とは違って妙にシーンとしていた。 工手の屍体は、アンペラで覆わ....
式部小路」より 著者:泉鏡花
って、愛吉の姿があらわれたとなる。と、こけ勘はいきせい切って追いあがりましたが、遠巻にした見物も、二人の徒も、いくら待っても鍍金が来なかったというじゃありません....
消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
だしました。しかしどうも肝心の私の知りたいことは恐ろしくて訊けませんでした。ただ遠巻きに探りを入れているだけで、どうもそこへは話が入って行きません。こんなにも真....