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遠心
「遠心〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠心の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ある心の風景」より 著者:梶井基次郎
使う小石が積んであった。それは秋日の下で一種の強い匂いをたてていた。荒神橋の方に
遠心乾燥器が草原に転っていた。そのあたりで測量の巻尺が光っていた。 川水は荒神....
「新生」より 著者:島崎藤村
「これでお前が細君も貰わずにいるなんてこともいくらか節ちゃんの方に響いているテ。
遠心力のようなもので、遠廻しに引いている気味があるテ。節ちゃんもあれで一度はお嫁....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
すなわち、彗星である。これよりも質量が小さくまた速度の小さいもののうちで、同様な
遠心力を有するものが一群となって、それが前記の第二の要素の一つとなった(この中で....
「気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
す。一方、操縦室の床に倒れていた井上順三の屍体は、機関車の加速度と、曲線に於ける
遠心力の法則に従って、あの通りに投げ出されます。だが、ここで問題になるのは、何故....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
てから、現在の位置で螺旋が詰ったものと仮定しよう。けれども、その廻転の間に、当然
遠心力が働くだろうからね。したがって、ああいう正座に等しい形が、とうてい停止した....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
央の政争が地方に波及|伝播し地方の大争乱を捲き起したのである。 戦国時代は此の
遠心的な足利幕府の解体過程の中に生れて来たのである。....
「イデオロギーの論理学」より 著者:戸坂潤
而上学に於て、経験的事実に先立って、アプリオリに、一切の運動の相対性を主張した。
遠心力を知覚出来る円運動の如きも、彼によれば絶対運動ではない、ただ真の運動(wa....
「喫煙四十年」より 著者:寺田寅彦
げておいてから指で空中に円を画きながら煙管をプロペラのごとく廻転するという曲芸は
遠心力の物理を教わらない前に実験だけは卒業していた。 いつも同じ羅宇屋が巡廻し....
「『井伏鱒二選集』後記」より 著者:太宰治
のように一つずつ進める。」 「井伏の小説は、決して攻めない。巻き込む。吸い込む。
遠心力よりも求心力が強い。」 「井伏の小説は、泣かせない。読者が泣こうとすると、....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
てしまうにしてもだ。浄善尼が奇術的な廻転をした事が判ると、一応は、飛散した金泥に
遠心力と云う事を考えるだろうね。そして、あの四本の玉幡が気になって来るのだが、あ....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
得手を持っている訣である。 短詩形の持つ主題 俳句と短歌とで見ると、俳句は
遠心的であり、表現は撒叙式である。作家の態度としては叙事的であって、其が読者の気....
「「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
。それは、渦はもとより求心性のものだが……きっとそれにつれ、うえの空気のうごきは
遠心性を帯びるだろう。つまり、くるくる中心に巻きこむ渦の方向とは反対に、うえの湿....
「妖怪玄談」より 著者:井上円了
、一は求心性神経と称して、神経の末端より中枢に伝うる作用を有するものをいい、一は
遠心性神経と称して、中枢より末端に伝うる作用を有するものをいう。 今、仮に「伊....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
ことはできない。なぜなら私の一生の歩みにおいて、私はもはや、自己の外の世界を見、
遠心的の課題と取組むべき時期に達した。それは私にとって好ましくなくても、私の人間....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
海上の一大宝塔――高麗丸。 その汽笛のぼうううは島と空とに緩るく深く響いて、
遠心的に白く広く拡がってゆく。 空腹だ。ぼうううう。 パパ、おまんまァアアア....