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遠慮勝ち
「遠慮勝ち〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠慮勝ちの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「年末の一日」より 著者:芥川竜之介
ならば。………どこかお出かけになる先はおきまりになっているんですか?」
K君は
遠慮勝ちに問い返した。
「いいえ、どこでも好いんです。」
「お墓はきょうは駄目で....
「死後」より 著者:芥川竜之介
》かしいようには感じていた。
「仕事もやりかけていたんだろう?」
Sはもう一度
遠慮勝ちに言った。
「うん、長いものを少し書きかけていた。」
「細君は?」
「達....
「熊の出る開墾地」より 著者:佐左木俊郎
まりぐらいのところで……」 皆は口から飛び出そうとする笑いを圧《お》し殺して、
遠慮勝ちな微笑を投げ合った。巡査は真っ赤になった。「とうとうやられたなあ!」と笑....
「新生」より 著者:島崎藤村
た。
妻子を捨てて家出をした鈴木の兄は岸本の思惑《おもわく》を憚るという風で、
遠慮勝ちに下座敷へ通った。
「台湾の兄貴の方から御噂はよく聞いておりました」
....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
は、逢うも逢わねえも云っちゃあいられねえ。まあ、通してみろ」 亀吉に案内されて
遠慮勝ちにはいって来たのは、四谷の大木戸ぎわの油屋で、これも旧家として知られてい....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
時に、はじめて思い切ってその娘に声をかけたのである。声をかけられて、娘は低い声で
遠慮勝ちに答えた。 「はい。赤坂の方へ……」 「赤坂はどこです」 「裏伝馬町とい....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
棺輿の担ぎ手も、親戚も、葬列の人も、みな茶店の老婆と同じ心らしく、子供たち以外は
遠慮勝ちにわたくしたちの傍を離れていて呉れて、わたくしたちの悲歌劇の一所作が滞り....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
でも左様だが堂々と断髪し、堂々と本式の洋装をしてしまえば気もちがいいのをば、変に
遠慮勝ちに、ちょくちょくとやってみるのでかえって怪しく不思議なものが出来上がって....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
書きや針仕事も出来る。その上に容貌も好い。こういう身の上であるから、当人も努めて
遠慮勝ちにしているのであろうが、人間も素直でおとなしい。これでは誰にも嫌われ憎ま....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
れども、――」 無精髭を伸ばした妻の弟も寝床の上に起き直ったまま、いつもの通り
遠慮勝ちに僕等の話に加わり出した。 「強い中に弱いところもあるから。……」 「お....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
与えられるのを目前で見ながらも、主人の箸が象牙で、茶碗当時は万事につけて何となく
遠慮勝ちで、三度の食事も充分に食べ得ない。さりとて雇人どもの手前もあるから、菓子....
「有喜世新聞の話」より 著者:岡本綺堂
書きや針仕事も出来る。その上に容貌も好い。こういう身の上であるから、当人も努めて
遠慮勝ちにしているのであろうが、人間も素直でおとなしい。これでは誰にも嫌われ憎ま....
「地上」より 著者:島田清次郎
いが、深井がようやく打ち明けてくれた一団の群の中心となる人間である以上、彼はやや
遠慮勝ちに、礼儀深くした。恐らく何も知らずにこの尾沢に会ったなら軽蔑し去ったかも....
「土竜」より 著者:佐左木俊郎
けだどこだげっとも、一つ家へ戻ってもらうべかと思ってな。ほんで……」 梅三爺は
遠慮勝ちな調子で言った。市平は、暫くの間黙っていたが、やがて、しんみりとした調子....
「おせん」より 著者:邦枝完二
れ晴れとするようだぜ」 ふと、とんぼの影が障子から離れた。と同時に藤吉の声が、
遠慮勝ちに縁先から聞えた。 「師匠、太夫がおいでになりました」 「おおそうか。直....