遠慮深い[語句情報] »
遠慮深い
「遠慮深い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠慮深いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二老人」より 著者:国木田独歩
って、些細《ささい》な事に腹を立てすぐ衝突して職業から離れてしまう。第三に、妙に
遠慮深いところがあること。 なるほどそう聞かされると翁の知人どものいわゆる『理....
「政談月の鏡」より 著者:三遊亭円朝
せ様じゃアありませんか、幸いすうちゃんが休んで桶が明いてるから」 金「あゝ云う
遠慮深い人だから身装《なり》があの通りだからって寄越すめえ」 蓮「それは此方《....
「淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
じゃないじゃないか。紳士だってやるのに俺が遠慮するって法はねえぜ。待て、だが俺は
遠慮深いので紳士になれねえのかも知れねえぜ。まあいいや。―― 私は又、例の場所....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
故意に反対の方を見たり、あるいは向うへ二三歩あるき出したりした。それがため、妙に
遠慮深いところのできた敬太郎はなるべく露骨《むきだし》に女の方を見るのを慎《つつ....
「新生」より 著者:島崎藤村
方は巴里《パリ》遊学中には姪を御存じもなかったようである、姪からの手紙には非常に
遠慮深い方だとしてあるが、彼女はその滝さんがいかなる種類の美術家であるやすらも報....
「わが町」より 著者:織田作之助
かし、それやったら、写真館の親爺さんにそう言って、譲って貰えば良いのに……。案外
遠慮深いんだなあ、お君ちゃんは……」 と、言った。 「そんでも、なんや厚かまし....
「家」より 著者:島崎藤村
う言われて、嘉助は癖のように禿頭を押えた。 「さ、御酌致しましょう」 と嘉助は
遠慮深い膝を進めた。この人は前垂を〆めてはいるが、武術の心得も有るらしい体格で、....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
ねえ」「いい色だねえ」などと言っているのがやはり子供らしい世辞のように聞こえた。
遠慮深い小さな声で言っているのであったがさすがにきのうの大宮の車夫とはちがって、....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
もので、水底からわざわざ這い上って来て、あんなに小さい質素な花で満足しているその
遠慮深い小心さは、贅沢好き、濫費好きの夏の太陽から、侮蔑の苦笑をもって酬いらるる....
「平凡」より 著者:二葉亭四迷
やら、方角が分らなくなったから、彷徨《うろうろ》していると、 「貴方《あなた》は
遠慮深いのねえ。男ッて然う遠慮するもンじゃなくッてよ。」 と何にも知らぬ雪江さ....
「野ざらし」より 著者:豊島与志雄
。」と禎輔は曖昧な答えをした。「君は食事は?」 「済みました。」 うっかりそう
遠慮深い答えをしたのに、昌作は自ら一寸面喰った形になって、急いで一方の長椅子に腰....
「人の国」より 著者:豊島与志雄
建仁寺垣の蝸牛をからかったりして、朝食までの時間を過した。 「若い者達はなかなか
遠慮深いとみえる。がそれも結構だ。思想上では随分勇敢だからな。」 ふと浮んだそ....
「女客一週間」より 著者:豊島与志雄
長椅子の上では、いくら何でも、あまりひどい。室は他にもある。それでも、彼女は変に
遠慮深い――というよりも、もう自分できめてかかってるのだ。云うなりに任せるの外は....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
、例の一風変った仮髪の下で始終明るくされていた。その眼をテルソン銀行風の落著いた
遠慮深い表情に仕込むには、過ぎ去った年月の間に、その眼の持主に多少は骨を折らせた....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
覚次郎君は内弟子となって修業中、気の毒なことに脚気衝心で私宅にて亡くなりました。
遠慮深い人柄な人で、私も病中何かと世話をしたが急なことで、どうしようもなく気の毒....