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遠目
「遠目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
った。が、彼女の前髪や薄い黄色の夏衣裳《なついしょう》の川風に波を打っているのは
遠目にも綺麗《きれい》に違いなかった。
「見えたか?」
「うん、睫毛《まつげ》ま....
「寒さ」より 著者:芥川竜之介
嫌悪《けんお》を感じさせると同時に好奇心を感じさせるのも事実だった。菰の下からは
遠目《とおめ》にも両足の靴《くつ》だけ見えるらしかった。
「死骸はあの人たちが持....
「少年」より 著者:芥川竜之介
確かである。少女は顔を出したと思うと、さらにその顔をこちらへ向けた。それから――
遠目《とおめ》にも愛くるしい顔に疑う余地のない頬笑《ほほえ》みを浮かべた? が、....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
少女を招きながら、何か甲高《かんだか》い声をあげた。その顔は大きい海水帽のうちに
遠目《とおめ》にも活《い》き活《い》きと笑っていた。
「水母《くらげ》かな?」
....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
崖邸の夫人|真佐子が豊かな身体つきを聳かして、日光を胸で受止めていた。膝の上には
遠目にも何か編みかけらしい糸の乱れが乗っていて、それへ斜にうっとりとした女の子が....
「修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
おり立ち、左金吾頼家これにありと、呼ばわり呼ばわり走せ出づれば、むらがる敵は夜目
遠目に、まことの上様ぞと心得て、うち洩らさじと追っかくる。 夜叉王 さては上様お....
「春昼」より 著者:泉鏡花
(ははあ、どんな、貴下、) (あの松原の砂路から、小松橋を渡ると、急にむこうが
遠目金を嵌めたように円い海になって富士の山が見えますね、) これは御存じでござ....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
もみじの音信を投げた、玉章のように見えた。 里はもみじにまだ早い。 露地が、
遠目鏡を覗く状に扇形に展けて視められる。湖と、船大工と、幻の天女と、描ける玉章を....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
、その周囲の花壇がいつも僕等の目を喜ばしてくれる。本年も四月の初めに、何の花だか
遠目でよくは分らなかったが、赤い色の大きなのが咲きそめて、今はもう、石竹、なでし....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
ロッビイの隅には亜米利加人らしい女が一人何か本を読みつづけた。彼女の着ているのは
遠目に見ても緑いろのドレッスに違いなかった。僕は何か救われたのを感じ、じっと夜の....
「花束の虫」より 著者:大阪圭吉
デイトリッヒやガルボなんだからね。――兎に角、若しも犯人が、夫人やこの証人の方の
遠目を晦ます為にそんな奇矯な真似をしたのだとしても、今更そんな事を名乗って出る犯....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
立った、お絹の姿は―― この時、幹の黒い松の葉も、薄靄に睫毛を描いた風情して、
遠目の森、近い樹立、枝も葉も、桜のほかは、皆柳に見えた。 「ああ、綺麗だ。お絹さ....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
それにこの器は、新式精鋭のものでない。藩侯の宝物蔵にあったという、由緒づきの大な
遠目金を台つきで廻転させるのであるから、いたずらものを威嚇するのは十分だが、慌し....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
臭気紛々として人に逼る、そのくせ大通にあつては両側に櫛比せる商戸金色|燦爛として
遠目には頗る立派なれど近く視れば皆芝居の書割然たる建物にて誠に安ツぽきものに候、....
「活人形」より 著者:泉鏡花
階にて下男を対手に、晩酌を傾けおりしが、得三何心無く外を眺め、門前に佇む泰助を、
遠目に見附けて太く驚き、「あッ、飛んだ奴が舞込んだ。と微酔も醒めて蒼くなれば、下....