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「遠矢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遠矢の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
み》の悩んでいた人面瘡《にんめんそう》ででもございましょうか。これは甥《おい》を遠矢にかけて、その女房を奪ったとやら申す報《むくい》から、左の膝頭にその甥の顔を....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
で来て、その黒い羽は後廂《うしろびさし》の青いふさを打ち落として通った。 「や、遠矢《とおや》じゃ。さりとは狼藉……」 立ちさわぐ侍どもを玉藻は簾のなかから制....
厳島合戦」より 著者:菊池寛
依って、二宮敵なるを知って、合じるしを示さんことを迫る。三浦立上って奮戦したが、遠矢に射すくめられ二宮の為に討たれた。 大和伊豆守は、毛利方の香川光景と戦う。....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
らしい敵を見出さなかった。高崎勢は同所の橋を破壊し、五十人ばかりの警固の組で銃を遠矢に打ち掛けたまでであった。鏑川は豊かな耕地の間を流れる川である。そのほとりか....
李陵」より 著者:中島敦
近の距離にまでは近づいて来ない。南へ行進して行く漢軍を遠巻きにしながら、馬上から遠矢を射かけるのである。李陵が全軍を停《と》めて、戦闘の体形をとらせれば、敵は馬....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
てもお前には知らせて上げないよ」 お松は駈けながら息を切って、こう言うと、この遠矢《とおや》が幾分か米友に利いたと見えて、米友は急に立ち止まり、 「お松さん、....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
。しかし、片腕ながら、大勢を相手にひるまぬところは面憎《つらにく》き奴、ここから遠矢にかけて射て落し、大勢の難儀を救うてやりたいものじゃ」 「確《しか》と左様で....
曽我の暴れん坊」より 著者:坂口安吾
知れないという怪童ができあがった。谷底へ大石を突き落す、大木をひッこぬく、強弓の遠矢は目にもとまらず谷を渡るというグアイで、箱根の山は連日噴火か地震のよう。師の....
光は影を」より 著者:岸田国士
、京野等志は、計らずも、極めて類の少い、大人の家庭教師という役を引受ける決心で、遠矢幸造の別宅へその日の午後、浜田と一緒に訪ねて行くことになつた。 鎌倉駅前に....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
また、 「そうだ、人間かも知れないぞ」 「まさか」 「何ともわからない、試しに、遠矢で射てみろ」 早速、番所から弓を持ち出して来たのが、弓自慢とみえ、片肌|外....
三国志」より 著者:吉川英治
駈け戻ってきた。 曹操は落馬していた。のみならず両手をもって、口を抑えていた。遠矢に面を射られて、二枚の前歯を欠いたのである。ために顔半分から両の手まで鮮血に....
私本太平記」より 著者:吉川英治
まい」 「隠し勢ということもある」 「それは当ってみねば分らん。が、この河幅だ、遠矢はきかぬ。さりとていつまで、こうしていたら、あとから来る味方にも、何していた....
私本太平記」より 著者:吉川英治
戦 警固毎日 高矢櫓にありて 軍忠に抽んづ とあり、いかに肉薄戦がむずかしく、遠矢合戦に暮れていたかがわかる。 が、これは正面大手だけのことだった。 ――....