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「遠路〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遠路の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
。あくる朝も頭が重くて胸がつかえて、あさ飯の膳にむかう気にもなれなかった。きのう遠路を歩いたので暑さにあたったのかも知れないと、小女の手前は誤魔かしていたが、彼....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
館主人と名乗る人からの招待状を受取った。その文面はすこぶる鄭重を極めたもので、「遠路乍ら御足労を願い、赤耀館事件の真相につき御聴取を煩わしたく云々」とあった。赤....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
とかその他|洲崎界隈の料理屋から取り寄せた。 自転車で岡持ちを運んで来る若者は遠路をぶつぶつ叱言いったが、小初の美貌と、父親が宛てがう心づけとで、この頃はころ....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
であった。 ある朝早く起きてみると、その馬は汗をながして、息を切って、よほどの遠路をかけ歩いて来たらしく思われるので、厩の者は怪しんで主人に訴えると、韓は怒っ....
姉川合戦」より 著者:菊池寛
んだ。恐らく現在の小笠原長幹伯は、その一族だろう) 家康が、到着した時、信長は遠路の来援を謝しながら、明日はどうぞ弱からん方を助けてくれと云った。つまり予備隊....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
多いそうにございます。 公子 博士、ついでに指環を贈ろう。僧都、すぐに出向うて、遠路であるが、途中、早速、硝子とその擬い珠を取棄てさして下さい。お老寄に、御苦労....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
つ松崎は、俄然として雲が湧いたか、とぎょっとした、――電車はあっても――本郷から遠路を掛けた当日。麗さも長閑さも、余り積って身に染むばかり暖かさが過ぎたので、思....
第二菎蒻本」より 著者:泉鏡花
くと、柳も見えて、樹立も見えて、濃く淡く墨になり行く。 朝から内を出て、随分|遠路を掛けた男は、不思議に遥々と旅をして、広野の堂に、一人雨宿りをしたような気が....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
ここらに育った者でもなく、町に住んでいる人びとと同じような服装をしていた。しかも遠路を歩いて来たように、その着物は埃だらけになっていた。実際、彼は審問に応ずるた....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ーである。 「春さきとは申しながら、まだ山風が吹きすさんで寒気身にしみる折から、遠路おでかけで、まことに大変なことですな。あいにくなことで」 なぞと、ふだんの....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
せ持主も改築するつもりで、うっちゃって置いたのでしょう。その親方は非常に健脚で、遠路を短時間に走るのが自慢でした。遠慮のない大声で物を言いますが、人柄は素朴で、....
不在地主」より 著者:小林多喜二
│ 決議 │ │ 今回岸野小作人が遠路出樽、小作料減免を歎願せ │ │ るは、一昨年来の凶作を考えるとき、その要....
妖怪学」より 著者:井上円了
て、自らなにも知覚せざるがごときものをいう。神感とは、自然に神の感通告示ありて、遠路のことを感知し、あるいは未来のことを予知するの類をいい、神知とは、教育を受け....
押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
と言つた。だが本家はまたその上に出た。源治はビツコ足をひいて五度も六度も一里余の遠路を通いつづけたが、ついにそのせり合いに敗れ去つた。本家は十六才の子供に、住み....
特殊部落と寺院」より 著者:喜田貞吉
苦しむ身でも、御本山への志納金はあえて怠らない。旅費がなくなって空腹を忍びつつ、遠路を徒歩して、遂に行き倒れにまでなりかけた婆さんが、懐中なる阿弥陀様のお金には....