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遠雷
「遠雷〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠雷の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「窮死」より 著者:国木田独歩
アがった。」と叫んで思い思いに席を取った。文公の来る前から西の空がまっ黒に曇り、
遠雷さえとどろきて、ただならぬけしきであったのである。 「なに、すぐ晴《あが》り....
「本州横断 癇癪徒歩旅行」より 著者:押川春浪
ったというので大騒ぎ。あっちでもブウブウ、こっちでもブウブウ、その内にゴーゴーと
遠雷のような音響《ひびき》、山岳鳴動してかなり大きな地震があった。 「ソラ、天狗....
「出家とその弟子」より 著者:倉田百三
人間 (手をのばして顔蔽いをとろうとする) 顔蔽いせる者 その手に禍いあれ!(
遠雷きこゆ) 人間 (ひざまずく) 幻影の列あらわる。 顔蔽いせる者 見よ。 人....
「火星兵団」より 著者:海野十三
っきりしなかったが、とにかく、かなり夜更になって、新田先生は、ごうんごうんという
遠雷のような響を耳にした。
「あっ、いよいよ来たなっ!」
と、先生は、穴の中に....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
の雨は、いずれも後刻の事にして、そのまま壇を降ったらば無事だったろう。ところが、
遠雷の音でも聞かすか、暗転にならなければ、舞台に馴れた女優だけに幕が切れない。紫....
「おとずれ」より 著者:国木田独歩
祝しぬ。儀式はこれにて終わり倶楽部の血はこれより沸かんとす。この時いずこともなく
遠雷のとどろくごとき音す、人々顔と顔見合わす隙もなく俄然として家振るい、童子部屋....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
ころもある。 しかし、より以上に呆れるのは、ゴロゴロと、河底一面しっきりなしに
遠雷がとどろいている音響である。何千何万の戦車が河底をしきならべて通っていても、....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
がキライで疎開このかた伊東の地に住みついてしまった人がある。伊東は年に四、五回、
遠雷がかすかにカミナリのマネをしてみせる程度で、片道三時間の通勤は不便だが、ヘソ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
行けば……)とも新子は考えた。 ただ準之助氏がお金を呉れるときにいった言葉が、
遠雷を聴くような不安を、今でもかすかに残している。 だが、とにかく他人からお金....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
悲惨な傾斜をなしてゆき、半ば以上も海面に緑色の船腹が現われてきた。やがて、鈍い、
遠雷のような響きがしたかと思うと、いきなり船首から真っ縦に水に突き刺った。そして....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
火に老いも若きもウットリしたらしいな。 本日(五月二十三日)午後一時二十一分、
遠雷のようなバクハツ音がきこえる。約三十分にわたって、断続する。私はいきなりペン....
「地上」より 著者:島田清次郎
釈して廊下伝いに冬子の「隠れ家」に帰った。彼は二階の座敷一杯に仰向けに寝転がって
遠雷のような電車の轟音と薄らな早春の日射しとの交錯を感じていた。そうしているうち....
「平ヶ岳登攀記」より 著者:高頭仁兵衛
岳登攀には非常な重要な地点である、ここまでは岩魚釣りが来る、不動瀑布は殷々として
遠雷のような音をたてているが、断崖|峭壁で囲繞されているのでその本体を見ることが....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
昼も暗い山峡では、今が何時頃だか判らぬ。あなたの峰を吹き過ぐる山風が、さながら
遠雷のように響いた。 三人は霎時黙っていた。やがてお杉は矗然と起った。 「お葉....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
靡いていた。行手を仰ぐと仙人山の尾根には雲が低く垂れて、一雨来そうな気配である。
遠雷の響が何処からともなく聞えて来る。雪渓を吹き下ろす冷い風に、蒸し暑い谷の瘟気....