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遠鳴り
「遠鳴り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遠鳴りの前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
よ。なんですかよ、ね、ちょっと、聞こえねえんですかい。ね、ちょっとてたら!――」
遠鳴りさせながらおかまいなくやって来て、二代め彦左のごとくにたちまちうるさく始め....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
。ちっとこれから奇妙なことをするから、いつものように鳴っちゃだめだぜ。ごろごろと
遠鳴りさせても、今度は本気でおこるよ」 念を押しておくと、ずいとはいっていって....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
堪えて歩いて行くと、やがて二つの感情はどうやら、おのおのの持場持場に納まり、沖の
遠鳴りのような、ただうら悲しい、なつかしい遣瀬なさが、再びかの女を宙の夢に浮かし....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
うなばらにただよう屍
根株のひげ根の波よせて
におう におう
汐《しお》ざいの
遠鳴り
波がしらみな北にむく。
伏せていこうはは
屍の炬燵《こたつ》
ほのかに....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
という声を聞けば一生懸命になるんだ。耳を澄ませば滔々として寄せ来る唯物論の大潮の
遠鳴りが聞こえる。われらは、pure experience と Vorstell....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
横を向いた藤次郎の眼に何やら光ったもののあったのを多門は見た。
夕映えの空に、
遠鳴りのような下町のどよめきが反響《こだま》して、あわただしいなかに一抹《いちま....
「公孫樹」より 著者:豊島与志雄
えると同時に、顔一杯に火のほてりを感じた。そしてあたり近所の騒ぎに、耳がごーっと
遠鳴りするようだった。垣根も半ば壊されていて、消防夫が駆け廻っていた。 僕はま....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
けて進んで行きました。と行く手から大勢の人声や、物を打つ音や物を切る音やが、潮の
遠鳴りのように聞こえ、燈の光なども見えて来ました。不意にその時人声が、此方へ近づ....
「黒い旗物語」より 著者:小川未明
から火鉢やこたつに当たりながら、家内の人々がいろいろの話をしていますと、沖の方で
遠鳴りのする海の声がものさびしく、もの怖ろしく、ものすさまじく聞こえてくるのであ....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
突然地の底から大砲でも放ったような響が続けさまに二度、谷の空気を劈いて山から山に
遠鳴りした。何だろう、雪崩れだろうかと話し合っている胸先に、不図厭な考えが浮んで....