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遡
「遡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
がら、後《うしろ》にいる苦力《クウリイ》を擲《なぐ》ったりしていた。それは長江を
遡《さかのぼ》って来た僕には決して珍しい見ものではなかった。けれども亦格別見慣れ....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
うはく》を続けて来た。そうしてその七年目の夏、彼は出雲《いずも》の簸《ひ》の川を
遡《さかのぼ》って行く、一艘《いっそう》の独木舟《まるきぶね》の帆の下に、蘆《あ....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
鉄橋の下は意外に深く、ほとんど胸につく深さで、奔流しぶきを飛ばし、少しの間流れに
遡って進めば、牛はあわて狂うて先に出ようとする。自分は胸きりの水中容易に進めない....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
れではいけない。そんなことでは縦令お前がどれ程|齷齪して進んで行こうとも、急流を
遡ろうとする下手な泳手のように、無益に藻掻いてしかも一歩も進んではいないのだ。地....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
ないのであるが、これに反して、かのカルデア及びエジプトにおける古典的地盤の時代に
遡ってこのような影響を求めてみると、得るところがなかなか多いのである。 『高きに....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
然に――とでもお思いになって、聞いて頂きましょう。 ――話、と言うのは数年前に
遡りますが、私の勤めていたH駅のあの扇形をした機関庫に……あれは普通にラウンド・....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
の風間三千子の名誉がかけられていた。 鬼仏洞は、ここから、揚子江を七十キロほど
遡った、江岸の○○にある奇妙な仏像陳列館であった。 これは某国の権益の中に含め....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
んだん事の次第をしらべますると、話はずっと遠い昔、私がまだ現世に生きて居た時代に
遡るのでございます。前にもお話ししたとおり、良人の討死後私は所中そのお墓詣りを致....
「化鳥」より 著者:泉鏡花
った。そんなことは私聞かないで知っている、朝晩見ているもの。 橋を挟んで、川を
遡ったり、流れたりして、流網をかけて魚を取るのが、川ン中に手拱かいて、ぶるぶるふ....
「悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
の声。 四 「どうも万事がトントン拍子、この風に白帆を張って川上に
遡るのは、なんとも云えませんな。おやおや、弁天様のお宮の屋根が蘆の穂のスレスレに....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
の中に編入しているのは、素より取るに足らぬけれど、それよりもズッと前、七十余年も
遡って万治三年の頃に備前の太守|池田新太郎少将光政の落胤と名乗って、岡山の城下へ....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
が、そこが改めて民間に払下げられることになったという、……もう十七八年も前の話に
遡らなければならぬいきさつなのだ。 当時、それと聞いて、誰一人、頭を横ざまに振....
「明治哲学界の回顧」より 著者:井上哲次郎
っして派生的の枝葉の解釈によって満足し得らるるものではない。必ず終極の根本原理に
遡ってはじめて徹底したる法理の概念が得らるる次第であるから、進化論のようなすでに....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
放胆|無礙な画風は先人椿岳の衣鉢を承けたので、寒月の画を鑑賞するものは更に椿岳に
遡るべきである。 椿岳の画の豪放|洒脱にして伝統の画法を無視した偶像破壊は明治....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
最初の動機について、私にその思出を語ろうと云うのである。 それはもう大分過去に
遡らねばならないことで、まだS夫人の夫の博士がシャム国政府の顧問官でいた時代で、....