遣って来る[語句情報] » 遣って来る

「遣って来る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遣って来るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
あらくれ」より 著者:徳田秋声
りに来た。 「帰ってみて、もし行《い》くところがなくて困るような時には、いつでも遣って来るさ」浜屋は切符をわたすとき、お島に私語《ささや》いた。 停車場では、....
真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
、花車が頼んだが行って遣らんかといえば、慾張《よくばっ》ているから屹度《きっと》遣って来るに違いない、法恩寺村の私の処へ来たら富五郎さん/\というて富五郎を側に....
白髪小僧」より 著者:杉山萠円
の美紅姫を一眼でも見ていれば、妾《わたし》より先に姫を疑う筈なのに平気でこの家に遣って来るところを見ると、青眼先生はこの家に初めて来たので、まだ美紅姫の顔を見た....
幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
今朝来たと云うことで二人とも非常な好い機嫌である、来客も中々多く、後から後からと遣って来る、やがて叔父より客一同に対して、此の度松谷秀子を養女にしたとの披露も終....
天主閣の音」より 著者:国枝史郎
去れだ」 「あっ、成程、時代が違う」 「それは然うと今日はやって来ないね、いつも遣って来る変な老人は」 「そうです今日は来ないようです」 「あれも気味の悪い老人....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
うか」といった。 「いや。ありがたいがもう済まして来ましたよ。今浅草|見附の所を遣って来ると、旨そうな茶飯餡掛を食べさせる店が出来ていました。そこに腰を掛けて、....
里芋の芽と不動の目」より 著者:森鴎外
e ※とでも云うのだろう。しかし己は嘘は言わないから、誰も落ち込みはしない。己は遣って来る人の性質や伎倆や境遇を見て、その人に出来そうな為事を授けるのだ。それで....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
「なにその、いわっしゃるほど因業でもねえ。この家をめざしてからに、何遍も探偵が遣って来るだ。はい、麻畑と謂ってやりゃ、即座に捕まえられて、吾も、はあ、夜の目も....
別れたる妻に送る手紙」より 著者:近松秋江
の頃、警察がやかましいんですって。戸外に変な者が、ウロ/\しているようだから何時遣って来るかも知れないから、若し来たら階下から『宮ちゃん/\。』ッて声をかけるか....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
しかしかかる疑念をうち消すために、こうもいえる。南蛮船が来航し、次で和蘭陀からも遣って来る。支那との交通はもとよりのことである。香木の伽羅を手に入れることで、熊....
註文帳」より 著者:泉鏡花
らね。 何でも来た方へさえ引返せば芳原へ入るだけの憂慮は無いと思って、とぼとぼ遣って来ると向い風で。 右手に大溝があって、雪を被いで小家が並んで、そして三階....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
で、腹ごなしに来る客もある。 それから一番の困りものは 新聞雑誌を読み厭きてから遣って来る。 仮装舞踏へでも行くように、うっかりして駆け附ける。 その足を早める....
三階の家」より 著者:室生犀星
、そちらへ参って居ります、でも此処では何んですから。」 「そうか、それで明日また遣って来る気かい。」 「あの……」 女は先刻から耐えていて持ち切れなくて、眼に....
それから」より 著者:夏目漱石
《かばん》の前へ坐って考え込んでいる位のものだ。明日になってみろ、放って置いても遣って来るからって、己《おれ》が姉さんを安心させたのだよ」と誠吾は落付払っていた....
姫たちばな」より 著者:室生犀星
あとは冷酷無情の眼のつつきあいしかなかった。津の国人は和泉の国人の顔をみるために遣って来るものとしか思えず、どちらも、珍しくもない仏頂面をあわせるだけで、橘姫の....