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遣り場
「遣り場〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遣り場の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河明り」より 著者:岡本かの子
しそうな瞳が覗き出た。 「…………」 「…………」 感情が衝き上げて来て、その
遣り場をしきりに私の胸に目がけながら、腰の辺で空に藻掻かしている娘の両方の手首を....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
意味はどうでも、だいたい犯人の芝居気たっぷりなところはどうだ?」
熊城は憤懣の
遣り場を法水に向けて、毒づいた。
「ところが、役者はこっちの方だと云いたいくらい....
「煩悩秘文書」より 著者:林不忘
あろう。あの佐助が、きょうの会合を忘れるはずはないが――。」 と言った顔には、
遣り場のない淋しさが、大きく描かれてあった。 草の文 「さようでげすな....
「渋谷家の始祖」より 著者:宮本百合子
、恐ろしい苦行であった。彼は、家庭を失った寂寥にも堪えかねたし、また無為な、力の
遣り場のない日常にも圧せられた。彼は、それ等の不調和に、真実に苦しんでいたのであ....
「我に叛く」より 著者:宮本百合子
はそこを明にしたいばかりに云っている、或る一点に揉み合うと、彼女は泣くほか感情の
遣り場がなくなった。これが、自分の唯一人愛している者なのか、という、歯痒《はが》....
「三郎爺」より 著者:宮本百合子
来たのだそうだ。 若しかすると山沢さんによって誘い出されては功名していた、力の
遣り場がなくなったせいかも知れない。 真に偉いことには、けれどもおかしいことに....
「女性週評」より 著者:宮本百合子
目付役の威厳で、目の前でその小路を引きかえさせるばかりでは、若い心の何かの渇きや
遣り場のなさがそのまま高尚な希望へ変るものでないことも、実感でわかっていよう。若....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
前にまざまざと並べるともう登志子は頭がイライラしてきて何となしに歯をかみならして
遣り場のない身悶をやけに足に力を入れて遣りすごした。道々も夢中に停車場に入るとそ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
朝《きぬぎぬ》のわかれを思わせてなまめかしい。
大きな眼が、泰軒の凝視を受けて
遣り場もなく、こころもちうるんでいた。
一雨ごとのあたたかさ。
その雨後のし....
「塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
まし」 丹「兎も角も早く逃げる支度をしろ」 と云いましたが、差当り二人の死骸の
遣り場がありません所から、右の死骸を藁小屋へ突込みまして、それから有合した着替の....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
していたと同様に、わしにも、輔佐してくれればよい」
と、いって、将曹の覚悟の、
遣り場を、無くしてしまった。だが、将曹は、それに対して
(何か、肚に一物があるの....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
した。 そこで、何んだか、おきせさんは中途半ぱな身になっているので、養女お若の
遣り場がないような有様になっている。それで東雲師は、俺の家へお若を伴れて来て置け....
「春」より 著者:岡本かの子
しない。 ――うるさい。早くみんな、あっちへ行って。京子は一旦は眠りについたが、
遣り場のない不満な焦慮怨恨の衝撃にせき立てられて直きに眼が醒めた。睡眠中、疲労の....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
いったような語気も見えて、先生はいろいろなことを言って聞かしたが、悄気きった眼の
遣り場にも困っているらしい耕吉の態を気の毒にも思ったか、 「しかし直入さんはあな....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
が御覧なさるか、また御重役方に聞きますれば分ります」 仙「フン、何にしても死骸の
遣り場に困ったな」 安「これが親方と私ばかりだと、係り合になるといけねえから投り....