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遥か
「遥か〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遥かの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
》を泣かせた悲劇の作者の満足を感じた。しかし最後に感じたものはそれらの感情よりも
遥かに大きい、何とも云われぬ気の毒さである。尊《たっと》い人間の心の奥へ知らず識....
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
だろう。あるいは屋根があるにも関《かかわ》らず、あいつは深い蒼空《あおぞら》を、
遥か向うに望んだかも知れない。あいつはその時、しみじみまた今までの自分の生活が浅....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
はその蜘蛛の糸をそっと御手に御取りになって、玉のような白蓮《しらはす》の間から、
遥か下にある地獄の底へ、まっすぐにそれを御|下《おろ》しなさいました。
二
....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
悩まされると、しばしば山腹に枝を張った、高い柏《かしわ》の梢《こずえ》に上って、
遥か目の下の谷間の景色にぼんやりと眺め入る事があった。谷間にはいつも彼の部落が、....
「将軍」より 著者:芥川竜之介
だの、副官の襷《たすき》だのが見えるだけでも、一般兵卒の看客《かんかく》席より、
遥かに空気が花やかだった。殊に外国の従軍武官は、愚物《ぐぶつ》の名の高い一人でさ....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
奉る、――世尊が無上の道へ入られるには、雪山《せつざん》六年の苦行よりも、これが
遥かに大事だったのじゃ。『取彼乳糜《かのにゅうびをとり》如意飽食《いのごとくほう....
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
。大事な妹を置きっぱなしにして来たのがたまらなく悲しくなりました。
その時Mが
遥かむこうから一人の若い男の袖《そで》を引《ひっ》ぱってこっちに走って来ました。....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
みても、ラザルスの怖ろしい幻影はどうしても拭い去ることが出来なかった。 しかし
遥かに遠いところに住んでいて、噂を聞くだけで本人を見たことのない人たちは、怖い物....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
。あなたの生涯も随分つらい一|生ではありましたが、それでも私のにくらぶれば、まだ
遥かに花も実もあって、どれ丈幸福だったか知れませぬ。上を見れば限りもないが、下を....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
み、又溺れることを以て人生の快事とした。その形態は正に人間であるが、その心情は、
遥かに動物以下であった。それでも神は、最後に人類をこの悪魔の手から救い出したでは....
「「菊池寛全集」の序」より 著者:芥川竜之介
ているのに相違ない。しかしわたしはそれらの背後に、もう一つ、――いや、それよりも
遥かに意味の深い、興味のある特色を指摘したい。その特色とは何であるか? それは道....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
が彼の姿を見たのだからたしかである! 吾々の記憶というものは、この世界などよりも
遥かに完全な世界なのだ。記憶は既に生存していないものに生命をあたえるのだ。 私....
「初雪」より 著者:秋田滋
長いクロワゼットの散歩路が、あおあおとした海に沿うて、ゆるやかな弧を描いている。
遥か右のほうに当って、エストゥレルの山塊がながく海のなかに突き出て眼界を遮り、一....
「可愛い山」より 著者:石川欣一
は、不思議に印象に残っていた。時々夢にも見た。秋の花を咲かせている高原に立って、
遥か遠くを見ると、そこに美しい山が、ポカリと浮いている。空も桔梗色で、山も桔梗色....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
が、どうかすると非常に遠く離れていることがある。その時は二声も三声も呼ぶ。山彦が
遥かの峰から応えて、少し後れながら淋しい趣きをそえつつ同じ声をもって来る。時とす....