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遶
「遶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「草枕」より 著者:夏目漱石
な》めに余が眼に入る。しかし見上げたる余の瞳にはまだ何物も映らぬ。しばらくは軒を
遶《めぐ》る雨垂《あまだれ》の音のみが聞える。三味線はいつの間《ま》にかやんでい....
「京に着ける夕」より 著者:夏目漱石
《いき》たる細雨《さいう》は、濃かに糺の森を罩《こ》めて、糺の森はわが家《や》を
遶《めぐ》りて、わが家の寂然《せきぜん》たる十二畳は、われを封じて、余は幾重《い....
「吾輩は猫である」より 著者:夏目漱石
窓から、また花吹雪《はなふぶき》を一塊《ひとかたま》りなげ込んで、烈しき風の吾を
遶《めぐ》ると思えば、戸棚の口から弾丸のごとく飛び出した者が、避くる間《ま》もあ....
「思い出す事など」より 著者:夏目漱石
。 死生交謝時。 寄託冥然去。 我心何所之。 帰来覓命根。 杳※竟難知。 孤愁空
遶夢。 宛動粛瑟悲。 江山秋已老。 粥薬※将衰。 廓寥天尚在。 高樹独余枝。 晩....
「突貫紀行」より 著者:幸田露伴
海気は衣を撲《う》って眠《ねむ》り美ならず、夢魂《むこん》半夜|誰《た》が家をか
遶《めぐ》りき。 二十七日正午、舟《ふね》岩内を発し、午後五時|寿都《すっつ》....
「一夜」より 著者:夏目漱石
りが三つの輪を描《えが》いて、黒塗に蒔絵《まきえ》を散らした筒の周囲《まわり》を
遶《めぐ》る。あるものは緩《ゆる》く、あるものは疾《と》く
遶る。またある時は輪さ....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
うで、此程|周囲の雑木を切り倒し、共有の小杉林を拓いてしもうた。いまに※の生牆を
遶らし、桜でも植えて奇麗にすると云うて居る。惜しい事だ。
二
....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
て前進し麦を刈って積んだ処へ来た。その国俗として麦藁《むぎわら》を積んだ処を右に
遶《めぐ》れば飲食をくれる、来年の豊作を祈るためだ。左に
遶れば凶作を招くとて不吉....
「風流仏」より 著者:幸田露伴
野越え山越えのつらきを覚えし草枕、露に湿りて心細き夢おぼつかなくも馴れし都の空を
遶るに無残や郭公待もせぬ耳に眠りを切って破れ戸の罅隙に、我は顔の明星光りきらめく....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
よりも」 と、女を手招きして耳に口を寄せて、何かささやいた。女は其意を得て屏風を
遶り、奥の方へ去り、主人は立っても居られず其便に坐した。 やがて女は何程か知れ....
「死者の書」より 著者:折口信夫
っし あっし。 あっし あっし あっし。 狭い廬の中を蹈んで廻った。脇目からは、
遶道する群れのように。 郎女様は、こちらに御座りますか。 万法蔵院の婢女が、息を....
「弓道中祖伝」より 著者:国枝史郎
る。 准南子ニ曰ク「養由基楊葉ヲ射ル、百発百中、楚ノ恭王猟シテ白猿ヲ見ル、樹ヲ
遶ッテ箭ヲ避ク、王、由基ニ命ジ之ヲ射シム、由基始メ弓ヲ調ベ矢ヲ矯ム、猿|乃チ樹ヲ....
「書記官」より 著者:川上眉山
の通いに、久しく馴れ睦みたる婢どもは、さすがに後影を見送りてしばし佇立めり。前を
遶る渓河の水は、淙々として遠く流れ行く。かなたの森に鳴くは鶇か。 朝夕のたつき....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
の花冠(Corolla)が弁裂せずに完全に合体して、環に端がないように、その縁が
遶っているからだといわれる。また鼓子花の意味はその形が軍中で吹く鼓子に似ているか....
「親鸞」より 著者:三木清
心を至し発願して、わが国に生ぜんとおもはん、寿終のときにのぞんで、たとひ大衆と囲
遶して、その人のまへに現ぜずば、正覚をとらじ。」 この文によってこの第十九願は....