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遺す
「遺す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遺すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
骨肉を分けて血の縁を結んだなら自分の性格の複雑さも増す思いで、分身を雲の彼方にも
遺す思いで、自分はどのようにかこの世に足り足らいつつ眼が瞑れることだろう。翁に、....
「東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
うまく配合されている道筋はあまり他にはないと思うのです。で、もしこれに手を加えて
遺すべきものは遺し、新しく加うべき利便はこれを加えたなら、将来、見事な日本の一大....
「後世への最大遺物」より 著者:内村鑑三
にわれわれの思考に浮ぶものからお話しをいたしたいと思います。
後世へわれわれの
遺すもののなかにまず第一番に大切のものがある。何であるかというと金です。われわれ....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
なら、命と取り換えっこのつもりでやりますから」 「僕は家内も要らなければ、子孫を
遺す気もありません。素晴らしく豊麗な金魚の新種を創り出す――これが僕の終生の望み....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
ヒーだけは、自分で挽いて自分でいれる器用な手つきだけのところに、文化人らしい趣を
遺すだけで、あとは日々ただの村老に燻んで行った。彼女は従えられ鞣されて行った。 ....
「運命」より 著者:幸田露伴
いんとする也。敬たゞ涕泣して可かず。帝|猶殺すに忍びず。道衍白す、虎を養うは患を
遺すのみと。帝の意|遂に決す。敬刑せらるゝに臨みて、従容として嘆じて曰く、変|宗....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
、実に此の上もない感服のことだ、あゝ恥入った、実に我が先祖は白痴だ、斯様な事を書
遺すというは、許せ/\」 と縁先へ両手をついて詫びますと、傍に聞いて居りました....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
しかし地上の禍悪はおもに人間の過失から生ずるのである。いったんの過失が永い悲哀を
遺すのである。人間はやはりみな本来は神の子であるらしい。がただ悪魔に魅入られてい....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
し入れられ、首の座へ直ったところで、係りの役人がつと進んだ。 「これ紋太夫、云い
遺すことはないか?」作法によって尋ねて見た。 「はい」と云って紋太夫は逞しい髯面....
「勝負師」より 著者:織田作之助
であった。一生苦労しつづけて死んだ細君の代りに、せめてもに娘にこれが父親の自分が
遺すことの出来る唯一の遺産だといって見せた真剣な対局であった。なににも代えがたい....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
…ところで、奴が死んでみると、俺たち彼の仲間は、奴の作品を最も正しい方法で後世に
遺す義務を感ずるのだ。ところで、俺は九頭竜にいった。いやしくもおまえさんが押しも....
「「ケット」と「マット」」より 著者:喜田貞吉
ては、為政者ももはやこれに対して考慮を払うこと少く、したがって歴史に何らの記録を
遺すことなしに、黙々の間に彼らは永くその旧態を持続せしめられたのであった。かくて....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
むは、いと傷ましき業なれど、後に忍ばんたよりとも、思ふ心に水茎の、あとに斯くこそ
遺すなれ
思へば六とせそのかみに、妙の御法ををさめんと、わが故郷を後にして、深....
「天を怖れよ」より 著者:小川未明
誤信にすぎないのであります。なぜなら、彼等は、自ら生存し、自ら楽しみ、自ら種族を
遺す自由を有しているからです。 曾て、彼等の祖先によって、この地球が征服されて....
「俗法師考」より 著者:喜田貞吉
だとの明文があって、中にも鉾大明神以上のものは今もその位置が分明であってみれば、
遺すところの中尾がすなわち鳩垣内と同一か、少くとも鳩垣内が中尾の中のものらしく想....