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遺愛
「遺愛〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
遺愛の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
の大きな書棚、鏡のついた大理石の煖炉《だんろ》、それからその上に載っている父親の
遺愛の松の盆栽――すべてがある古い新しさを感じさせる、陰気なくらいけばけばしい、....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
璃玉。まだこのほかに、山吹社中の懇望によって鉄胤から特に贈られたという先師篤胤が
遺愛の陽石。 この報告が馬籠へ届くたびに、半蔵はそれを親たちにも話し妻にも話し....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
二間つづきの広い部屋で、中央の唐紙なぞも取りはずしてあり、一方の壁の上には故人が
遺愛の軸なぞも掛けてあった。集まって来た客の中に万福寺の松雲和尚の顔も見える。当....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
像をかかげ、開かれざる書筺と洋籍の棚は片すみに排斥せられて、正面の床の間には父が
遺愛の備前兼光の一刀を飾り、士官帽と両眼鏡と違い棚に、短剣は床柱にかかりぬ。写真....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
の時間でいえば、午後七時ごろに、道場の正面に亡き十方斎先生の位牌を飾り、その前に
遺愛の木剣を置いて――これがまず式場です。 この不知火道場のしきたりとして、何....
「梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
した墨の痕跡と胡粉の痕跡が処々残っている極めて読みづらい本であった。 この翁の
遺愛の本は現在神奈川県茅ヶ崎の野中家に保存して在る筈である。 ....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
生達は、思い出の深い書斎に集って、この小説家の遺骸と一緒に、白木の棺に納めるべき
遺愛品の撰択について協議を始めた。M氏には子供らしい妙な癖があって、自分に門下生....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
った。そこで何か好い校名を附けてくれといって来たのでその資金の来歴に依って、私は
遺愛女学校と名を与えた。この学校は今でも彼の地に存在している。爾来卅年ばかり兼三....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
たとき。
半生を鍛剣のわざに精進して、技《ぎ》熟達《じゅくたつ》、とうとう孫六
遺愛の鑢《やすり》を手がけようとして箱をひらいたのが関《せき》正統《せいとう》の....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
侍女のすすめる白絹の葬衣に、袖をとおす気力だにない。
床の間に、故父《ちち》の
遺愛の品々が飾ってある。それに眼が行くたびに、あらたなる泪《なみだ》頬を伝うて、....
「霧の中」より 著者:豊島与志雄
。 故人の引伸し写真と位牌とを中心に、小さな気持よい祭壇が拵えてあった。特別の
遺愛の品とてないので、いろんな身辺の品が一纒めにして置かれていた。万年筆、鉛筆、....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
め、また実地に菌類標本も蒐集して研究の基礎を築いた。今はこれらの書籍、標本はみな
遺愛品となって遺るに至ったが、遺族の方はこれを日本科学博物館に献納したと聞いた。....
「墓が呼んでいる」より 著者:橘外男
蔵の念仏のみが、痛切に胸に沁み込んでくる。合掌して、焼け跡から折り取って来た生前
遺愛の蔓薔薇を供え、香を焚く。運命の人よ! 八十年生きるも百年生くるも、人の世は....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
村荘《そんそう》に余生を送った。今日《こんにち》庭内に繁茂している草木は皆玄斎が
遺愛の形見である。 熙は初め中村敬宇《なかむらけいう》の同人社に入り後に佐藤牧....
「春水と三馬」より 著者:桑木厳翼
為永式教訓物であるから、寧ろ其所に特色もあるのであろう。 私は此書物をただ先考
遺愛の書というような意味で保存して居たが、其後|斯道の専門家たる新村出博士の研究....