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「遺業〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遺業の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
平凡な青年ならできてもできなくとも周囲のものにおだてあげられれば疑いもせずに父の遺業を嗣《つ》ぐまねをして喜んでいるだろう。それがどうしてもできないという所にも....
盲人独笑」より 著者:太宰治
。このように、故勾当の名も、その日記も、大正四年、正孫の葛原※氏が、その祖父君の遺業を、写真数葉、勾当年譜、逸話集等と共にまとめて見事な一本と為し、「葛原勾当日....
法窓夜話」より 著者:穂積陳重
うことは、その夫に対する敬順の義務を破るものではあるまいか。自己の余生を亡き夫の遺業の完成のために委《ゆだ》ねるは、なお在《い》ます夫に事《つか》うる如き心地が....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
三郎は遂に葛藤を生じて離縁せられた。 是において二世勝三郎の長男金次郎は、父の遺業を継がなくてはならぬことになった。金次郎は親戚と父の門人らとに強要せられて退....
作家のみた科学者の文学的活動」より 著者:宮本百合子
来ている。寺田氏の科学的業績を云々する資格はもとよりないのであるけれども、文学的遺業について見ると、寺田氏がこの人生に向った角度にあらそわれぬ明治時代色があり、....
油絵新技法」より 著者:小出楢重
をその中へ封じ込めてしまうものである。壮大にして複雑な油絵の組織と、先祖の立派な遺業は次の時代の人間の心をその下敷にしてしまったものである。 近代人の苦悶はと....
紅葉山人と一葉女史」より 著者:宮本百合子
ない。紅葉山人が、用語の上に非常な苦心をもって、新らしい試をされたのだけでも氏の遺業は大なるものであると尊ぶのである。 一葉女史にしても、そのまれに見る才筆に....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
人の手に遺されていた。芝浦の塩湯と呼ばれて、その後も幾多の変遷を経て、ずっとその遺業はつづけられた、塩湯の方はおいおい附帯のように成っていったが、芝浦館といえば....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
ようにいって、非難を加えていることに、憤りを抱いているのであった。 「では父上の遺業を継いで、事を謀っているこの紋也の今日まで行なって来たことも、行き過ぎた行な....
南国太平記」より 著者:直木三十五
遂げて見る」 西郷吉之助は、こうした決心をした。そして、同じ心の人々は、斉彬の遺業が、斉興の手にて、破壊されると同時に、斉彬の志を奉じて、それぞれ、諸国に奔《....
新西遊記」より 著者:久生十蘭
冥蒙たる地域に、紀元前三世紀に滅びてしまったニネヴェ古代帝国以来の燦然たる文化の遺業をそのままにたもち、周囲約一マイル、延長三十八マイルの廻廊をめぐらす大宮殿と....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の客の帰り行くをたゝずみて遥に見送る心情、いかにも思ひやられ候。 林太郎君在職中遺業の一つがどふやら湮滅せんとするありて、此頃後々迄もはつきり書きて遺したく、そ....
三国志」より 著者:吉川英治
君陶謙の霊位を祭って、黄河の原でその盛大な葬式を営んだ。 それから陶謙の徳行や遺業を表に彰して、これを朝廷に奏した。 また、糜竺だの、孫乾、陳登などという旧....
三国志」より 著者:吉川英治
前にぬかずくと、詞をもって、こう祈念した。 「尊神よ。願わくは、わたくしに亡父の遺業を継がせて下さい。不日、江東の地を平定いたしましたら、かならず御廟を再興して....
大岡越前」より 著者:吉川英治
淵の弟子として、つねに音信を欠かさなかった。 ところが、この鉄淵は、先師鉄眼の遺業である開版大蔵経の恒久的な保存法を朝廷や幕府の援護にも、仰ぐため、京都にゆき....