遺髪[語句情報] » 遺髪

「遺髪〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

遺髪の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
行李《こうり》の中には、求馬《もとめ》左近《さこん》甚太夫《じんだゆう》の三人の遺髪がはいっていた。 後談 寛文《かんぶん》十一年の正月、雲州《....
十二支考」より 著者:南方熊楠
日竭忠大いに太子陵東の石穴中に猟し数虎を格殺《うちころ》した、その穴に道士の冠服遺髪甚だ多かったと見ゆ。後漢の張道陵が蟒《うわばみ》に呑まれたのをその徒が天に上....
趣味の遺伝」より 著者:夏目漱石
樹山《しょうじゅざん》の塹壕《ざんごう》からまだ上《あが》って来ないがその紀念の遺髪は遥《はる》かの海を渡って駒込の寂光院《じゃっこういん》に埋葬された。ここへ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
お馨さんの父者人、母者人と三度目の対面をした。十二畳|二間を打ぬいて、正面の床に遺髪と骨を納めた箱を安置し、昨日から来て葛城の姉さんが亡き義妹の為に作った花環を....
ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
引寄せながら、新しい筆を取上げて墨汁を含ませますと、今の半紙の包みの上に恭しく「遺髪」「呉モヨ子殿」と書きました。それから、ちょっと時計を出して見ながらジッと考....
堺事件」より 著者:森鴎外
方に引き渡し、支配方は受け取って各自の親族に預けた。九人のものはこの時一旦|遺書遺髪を送って遣った父母妻子に、久し振の面会をした。 五月二十日に、南会所から九....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
面をして包みに眼を落しながら、 「こりゃお土産じゃねえよ」 この包みにはお浜の遺髪が入っているのです。 「太郎作さん、俺《おら》が水車《くるま》は大丈夫かえ」....
鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
方へ下られた人があるという。見ると弟の大之丞の筆で、父はもう廿二日に死去してその遺髪を持って帰郷する、定めてこの宿に立寄るであろうから知らすというのであった。私....
生前身後の事」より 著者:中里介山
うしているうちに百回前後で一きりに切り上げるのを例とした、最初の時に与八がお浜の遺髪を携えて故郷へ帰るあたりで切った時分には読者から愛惜の声が耳に響くほど聞えた....
松井須磨子」より 著者:長谷川時雨
たのだから」 と頑迷《がんめい》なことを言出したため、彼女がとっておいた島村氏の遺髪と一所に葬ることにして、遺骨は信州へ持ちかえられた。彼女ほどに透徹した人生を....
五色蟹」より 著者:岡本綺堂
なって、東京から亀江の親戚がその屍体を引き取りに来た。屍体はすぐに火葬に付して、遺髪と遺骨とを持って帰るとのことであった。その翌日、元子は遺骨を送って東京へ帰っ....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
先の旅といっても、元より修行一筋の身ではあるが、実は、木曾の故郷で亡くした母の遺髪と位牌を今もなお肌身に持っていて、何かにつけ気がかり。この大和路まで来たのを....
三国志」より 著者:吉川英治
東の使者を厚くねぎらい、公孫康へ報ゆるに襄平侯左将軍の印を以てした。そして郭嘉の遺髪を手厚く都へ送り、やがて自身も、全軍を領して、冀州まで帰った。 北方攻略の....
黒田如水」より 著者:吉川英治
まだ彼がこんな不具になったとは知らずにいたのだった。 やがて還って来るものは、遺髪と爪だけかとまで、一ころは深く思いあきらめていた彼の妻には、大きく左の肩を落....