避病院[語句情報] » 避病院

「避病院〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

避病院の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る嬰児殺しの動機」より 著者:佐左木俊郎
》ちゃん! なんとかして医者を呼ぼうかね? なんならだれかに頼んで、いっそのこと避病院《ひびょういん》にでも入るようにしてもらったらどんなものかね?」 「おれ、....
さようなら」より 著者:田中英光
たのに、むしろホッとした。無論、その死顔も忘れている。お栄ちゃんは長兄が付添い、避病院の一室で死に、その葬式は祖父と一緒に盛大に営なまれたが、ぼくは自分と同年輩....
笑う唖女」より 著者:夢野久作
夏の末頃までこの裏山に住んでおりまして、父親の跛爺の門八は、村役場の走り使いや、避病院《ひびょういん》の番人など致しておりましたが……」 「フーム。村の厄介者じ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
には大勢の人が集まって騒いでおりまして、石炭酸の臭いが眼にしみるようです。病人は避病院へ送られるらしく、黄いろい紙の旗を立てた釣台も来ておりました。なんだか怖ろ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
ば、直ぐ「おしめり正月」である。伝染病が襲うて来るも此月だ。赤痢、窒扶斯で草葺の避病院が一ぱいになる年がある。真白い診察衣を着た医員が歩く。大至急清潔法施行の布....
骸骨の黒穂」より 著者:夢野久作
か申しておりましたが」 「ウムウム、中々の物識りという話じゃが、あの男がこの間、避病院の落成式の時にこげな事を話しよった。……人間の舎利甲兵衛に麦の黒穂を上げて....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
蜊は澄まし汁最もよく、豆腐にあしらったも悪くはない。されど宵越しのを勿体ながって避病院へ送られぬが肝要。まさか江戸ッ児はそんな意地汚しもしまいとは思うが、すべて....
黒馬車」より 著者:宮本百合子
げしい不安におそわれて、どうぞそうなりません様にと思う傍ら、電《いなずま》の様に避病院の黒馬車と、白い床の中に埋まって居る瘠せほうけた宮部を一様に思い浮べて居た....
獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
て光井の小学校を見ました。相当たかいところにあって、松の大木のがけです。あの下に避病院があったでしょう? そこを改造して、奇妙な用途にあてられて居ります。新しく....
旅役者の妻より」より 著者:矢田津世子
交る交る抱いて明しましたのも幾夜でしょう。太夫元からは鶴ちゃんの病状が病状故若し避病院へでもやられては興行をさし止められるから、とて医者にかけるのを拒まれたり、....
すみだ川」より 著者:永井荷風
な災難にびっくりしてしまった。甥《おい》の長吉が釣台《つりだい》で、今しも本所の避病院《ひびょういん》に送られようという騒《さわぎ》の最中《さいちゅう》である。....