避難[語句情報] » 避難

「避難〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

避難の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
られよう。しかも彼の強大な「我《が》」は「悟《さと》り」と「諦《あきら》め」とに避難するにはあまりに情熱に溢《あふ》れている。 彼は机の前に身を横たえたまま、....
袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
は、たとえあの女を弄《もてあそ》んだにしても、まだそう云う義憤の後《うしろ》に、避難する事が出来たかも知れない。が、己にはどうしても、そうする余裕が作れなかった....
水の三日」より 著者:芥川竜之介
を加えて、ふたたび福引を行った。そうしてそれをおわったのはちょうど正午であった。避難民諸君は、もうそろそろ帰りはじめる。中にはていねいにお礼を言いに来る人さえあ....
西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
むを得ず、立った後《あと》の空地へ制帽を置いて、一つ前に連結してある食堂車の中へ避難した。 食堂車の中はがらんとして、客はたった一人しかいない。本間さんはそれ....
或る女」より 著者:有島武郎
うやく解放されて来た葉子に取ってはなつかしくばかりながめられた。こここそは屈強の避難所だというように葉子はつくづくあたりを見回した。そして部屋《へや》のすみにあ....
水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
晃々と日が照った。水は少しずつ増しているけれど、牛の足へもまだ水はつかなかった。避難の二席にもまだ五、六寸の余裕はあった。新聞紙は諸方面の水害と今後の警戒すべき....
朱日記」より 著者:泉鏡花
足を投出して、横坐りになった、浪吉の無事な姿を見た。 学校は、便宜に隊を組んで避難したが、皆ちりちりになったのである。 と見ると、恍惚した美しい顔を仰向けて....
「別居」について」より 著者:伊藤野枝
な不平が一時に頭をもたげ出しました。けれども私は、いつでもそういう場合にはすぐに避難をする処をもっておりました。それは、辻に対する愛でした。私はいつでもそこに逃....
歯車」より 著者:芥川竜之介
いるのは神経だけである」…… 姉は三人の子供たちと一しょに露地の奥のバラックに避難していた。褐色の紙を貼ったバラックの中は外よりも寒いくらいだった。僕等は火鉢....
阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
であったが、茶館や酒屋の中では、革命党が入城するので、挙人老爺がわれわれの田舎に避難して来たと、皆言った。ただ鄒七嫂だけはそうとは言わず、あれは詰らぬガラクタ道....
あのころ」より 著者:上村松園
落ちた大砲の弾から火事を起こし、その質蔵も類焼し、一家は生命からがら伏見の親類へ避難したのでした。 そのときは母の仲子は十六、七でしたが、そのときの恐ろしさを....
座右第一品」より 著者:上村松園
り急に強くなりましたので、家財道具を取り出すという余裕もありませず、イザ身一つで避難しようとします時、何ぞ手に提げて行けるほどの物でもと、そこらを見廻しながら、....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
路至難なれば、万舶みなこの峡間を通過すという。しかしてプンタアレナスは、実にその避難港たり。余はここに来たり、マゼラン氏を追懐して一首を賦す。 極南風浪高難。 ....
戦争史大観」より 著者:石原莞爾
が乱暴するので縊死するもの、井戸に投じ、焼死するものが続出し、そうした区域からの避難民は争って日本軍駐屯の北城区域へ避難して来た。こうした避難民のため、その当時....
本所両国」より 著者:芥川竜之介
記憶に残っているのでは一番|水嵩の高いものだった。江東橋界隈の人々の第三中学校へ避難したのもやはりこの大水のあった時である。僕は江東橋を越えるにも一面に漲った泥....