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還
「還〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
還の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
童部《わらべ》はこう何度も喚《わめ》きましたが、鍛冶はさらに正気《しょうき》に
還る気色《けしき》もございません。あの唇にたまった泡さえ、不相変《あいかわらず》....
「影」より 著者:芥川竜之介
が開けた。…………
横浜。
書記の今西《いまにし》は内隠しへ、房子の写真を
還《かえ》してしまうと、静に長椅子《ながいす》から立ち上った。そうして例の通り音....
「黄粱夢」より 著者:芥川竜之介
れ五六年もいましたろう。やがて、冤《えん》を雪《すす》ぐ事が出来たおかげでまた召
還され、中書令《ちゅうしょれい》になり、燕国公《えんこくこう》に封ぜられましたが....
「魔術」より 著者:芥川竜之介
へ移ってしまったと思うと、すぐに最初来たのから動き出して、もとの書棚へ順々に飛び
還《かえ》って行くじゃありませんか。
が、中でも一番面白かったのは、うすい仮綴....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
出来たのであった。が、彼等も一瞬の後には、また以前の沈黙に――敵意を蔵した沈黙に
還《かえ》らなければならない事が出来た。
と云うのは河に落ちた彼が、濡《ぬ》れ....
「樗牛の事」より 著者:芥川竜之介
れからあすこへまわったかと思う。あいにくの吹き降りで、不二見村《ふじみむら》の往
還から寺の門まで行く路が、文字通りくつを没するほどぬかっていたが、その春雨にぬれ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ひ》のできる葉子の感情は今まで浸っていた痛烈な動乱から一皮《ひとかわ》一皮平調に
還《かえ》って、果てはその底に、こう嵩《こう》じてはいとわしいと自分ですらが思う....
「或る女」より 著者:有島武郎
ません。世にもし真理があるならば、そして真理が最後の勝利者ならばあなたは必ず僕に
還《かえ》ってくださるに違いないと。なぜなれば、僕は誓います。――主《しゅ》よこ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
作に割宛てる事、仁右衛門の小屋は前の小作から十五円で買ってあるのだから来年中に償
還すべき事、作跡《さくあと》は馬耕《うまおこし》して置くべき事、亜麻は貸付地積の....
「広津氏に答う」より 著者:有島武郎
てしまうであろう。思想は事実を芸術化することである。歴史をその純粋な現われにまで
還元することである。蛇行《だこう》して達しうる人間の実際の方向を、直線によって描....
「星座」より 著者:有島武郎
るとあとにはまた歯車のきしむ音がしばらく続いて、それから元どおりな規則正しい音に
還《かえ》った。
あまりの厳粛《げんしゅく》さに園はしばらく茫然《ぼうぜん》と....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
ない。これこそは本当の生命の赤裸々な表現ではないか。私の個性は永くこの境地への帰
還にあこがれていたのだ。 例えば大きな水流を私は心に描く。私はその流れが何処に....
「クララの出家」より 著者:有島武郎
りにしたのを恥じて手を放した。そして咽せるほどな参詣人の人いきれの中でまた孤独に
還った。 「ホザナ……ホザナ……」 内陣から合唱が聞こえ始めた。会衆の動揺は一....
「世界怪談名作集」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
人間は生まれて来るが、それと同時に絶えず葬式の蝋燭は人間の頭上にかがやき、虚無に
還元して、その人間と葬式の蝋燭の代りに空間が存在する。 空間と暗黒によって掩い....
「浅沼稲次郎の三つの代表的演説」より 著者:浅沼稲次郎
正と称して、わが国民主化に最も必要なる諸制度を廃棄して、戦前及び戦時中の諸制度に
還えさんとして、反動逆コースの政治を行わんとしております。われらは、この反動逆コ....