還る[語句情報] » 還る

「還る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

還るの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
邪宗門」より 著者:芥川竜之介
童部《わらべ》はこう何度も喚《わめ》きましたが、鍛冶はさらに正気《しょうき》に還る気色《けしき》もございません。あの唇にたまった泡さえ、不相変《あいかわらず》....
富士」より 著者:岡本かの子
もその意味を汲取ったものはない。ただ女神にそういわれて撫でさすられた空骸は、土に還ると共に、そこからはこけ桃のような花木、薊《あざみ》のような花草が生えた。深山....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
、 十余年前翰墨間 十余年前翰墨の間、 洛東相会送春還 洛東相会して春の還るを送る。 今日復逢都府北 今日復た逢ふ都府の北、 画楼秋影似東山 画....
地獄の使者」より 著者:海野十三
あ。しかし今までに調べたことが全部だめというわけじゃないでしょう」 「一応白紙に還る。面倒でも、もう一度やりなおしだ。この小さい卓子《テーブル》の上に載っている....
薬草取」より 著者:泉鏡花
た、途中で年寄った樵夫に逢って、路を聞いた外にはお前さんきり。 どうして往って還るまで、人ッ子一人いようとは思わなかった。」 この辺唯なだらかな蒼海原、沖へ....
火葬国風景」より 著者:海野十三
けだ」 鼠谷仙四郎の醜怪な頬には、ぽッと紅の色がさし昇って来た。 白煙に還る 鼠谷仙四郎の饒舌はつづく。 「僕は花山火葬場に長く勤めているうちに、火葬....
死者の書」より 著者:折口信夫
の相軋めく音が、やむ間なく聞える。だが其も暫らくで、山は元のひっそとしたけしきに還る。唯、すべてが薄暗く、すべてが隈を持ったように、朧ろになって来た。 岩窟は、....
山の湯雑記」より 著者:折口信夫
せて居た。だが此も、もうここ半月位で、多くの客の素通りして行く静かな山間の宿場に還るのだと思うと、内容は違うけれど、田山さんの作物にあった「再び草の野に」と言う....
光は影を」より 著者:岸田国士
ういいました。あなたも、多分、それをそのまゝお受けとりになつたんでしよう。生きて還るのが当然と思われる人間もいますが、死ぬのが当り前だと思うような人間もいるもん....
北斗帖」より 著者:違星北斗
塞翁の馬で今年も暮れにけり 雪空に星一つあり枯木立 枯葉みな地に抱れんとて地へ還る 〔昭和二十九年版遺稿集より〕....
古事記」より 著者:太安万侶
ました。そこで大言して、「この白い猪になつたものは神の從者だろう。今殺さないでも還る時に殺して還ろう」と仰せられて、お登りになりました。そこで山の神が大氷雨《だ....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
あればいつでも泡の形になれます。そしてその泡がたとえ一時消えてもやはりもとの水に還るのであって決してなくなるものではない。なおその上に、その泡がもとの水に還った....
世間師」より 著者:小栗風葉
なお禿げたろう、ははは。」と大笑いをして、「その口ぶりじゃ、嚊の方はもう辛抱して還る気はねえんだね。そのはずさ、七八年も世間師をしていちゃ、旅人根性は生涯抜けや....
松の操美人の生埋」より 著者:宇田川文海
帰らざるを以て、遂に二氏の技芸を見聞する能わず、宝山空手の思い徒に遺憾を齎らして還る。其の翌十八年の夏酷暑と悪病を避けて有馬の温泉に浴す。端なく会人無々君と邂逅....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
からね。もっと立体的な内観的な象徴的なものだからね。ところで、話はまた草根木皮に還るよ。聴くかい。」 「あっはっは、こりゃおもしろい。聴くよお。」と庄亮は、両肩....