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「邪険〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

邪険の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
土曜夫人」より 著者:織田作之助
そのネグラへ帰って来る放浪者のあわれさであった。 「陽子、おれだよ。あけてくれ。邪険はいやだぜ。ねえ、泊めてくれよ」 その京吉の言葉を聴くと、陽子はああ、やっ....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
飛騒いでいたのであるから。 障子を開けたままで覗いているのに、仔の可愛さには、邪険な人間に対する恐怖も忘れて、目笊の周囲を二、三尺、はらはらくるくると廻って飛....
婦系図」より 著者:泉鏡花
い、」 手桶を引立てて、お源は腰を切って、出て、溝板を下駄で鳴らす。 「あれ、邪険にお踏みでない。私の情人が居るんだから。」 「情人がね。」 「へい、」 と....
紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
ぬのかい」 「お父さん、お祖母さんもここにいるの」 「そうだ」 予は思わずそう邪険にいって帰途につく。兄夫婦も予もなお無言でおれば、子どもらはわけもわからずな....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
に……こんなことを申上げるのもお恥かしい次第でございますが、あのひとは、平常から邪険な、変った人でございますので、逆らわないに限ると思いまして、心ならずもそのま....
出家とその弟子」より 著者:倉田百三
せんでした。私はまだ童子であったころに友だちと遊んで、よく「目蓮尊者の母親は心が邪険で火の車」という歌をうたいました。私はその歌が恐ろしくてなりませんでした。そ....
春昼」より 著者:泉鏡花
状じゃ。 恋い慕うものならば、馬士でも船頭でも、われら坊主でも、無下に振切って邪険にはしそうもない、仮令恋はかなえぬまでも、然るべき返歌はありそうな。帯の結目....
棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
、彼は執拗に黙っていた。お千は怒りを帯びた声で、 「チョッ」と舌打をし、彼の腕を邪険にふり解いた。 「なんだい、面白くもない。黙って見ていりゃ、いい気になってサ....
湯島の境内」より 著者:泉鏡花
りものだって、そう云ってね、お母さんがお墓の中から、貴方によろしく申しましたよ。邪険なようで、可愛がって、ほうり放しで、行届いて。 早瀬 お蔦。 お蔦 でも、偶....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
切りのをおつけ申しますよ。」と女房は土間を横歩行き。左側の畳に据えた火鉢の中を、邪険に火箸で掻い掘って、赫と赤くなった処を、床几の門附へずいと寄せ、 「さあ、ま....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
と勤めりゃそれで可いのだ。お前様が何と謂ったって耳にも入れるものじゃねえ。」 「邪険も大抵にするものだよ。お前あんまりじゃないかね。」 とお通は黒く艶かな瞳を....
」より 著者:織田作之助
うのかと奉公人たちはかんたんにすかされて、お定の方へ眼を配るとお定もお光にだけは邪険にするような気配はないようだった。 お定は気分のよい時など背中を起してちょ....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
悪く、フローラは全身の分泌物を絞り抜かれたような思いだった。それからフローラは、邪険に横蔵を追いやって、その折回廊を、慈悲太郎が通り過ごしたのも意識するではなく....
決闘場」より 著者:岡本かの子
女の変に引きつれた笑い顔と、白く光って細い指の可愛く素早しっこい小突き方は、妙に邪険で、男達をわあーと後へ二三歩飛び去らせた。男達は息を呑んだ。でもワルトンは、....
ひとりすまう」より 著者:織田作之助
出なかった様だが、醜い女であったからかも知れない。心中するとは知らず、その前夜、邪険に怒鳴って済まないと思っていた。美しい女だったら、怒鳴らなかったろう。あるい....