部厚い[語句情報] » 部厚い

「部厚い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

部厚いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
深夜の市長」より 著者:海野十三
人が気づいたことであろう。彼等はあの厳しい赤い煉瓦壁体の中には、古ぼけた事務室と部厚い壁と幅の広い階段と長い廊下のほかに、なにものも予想していないであろう。 ....
蠅男」より 著者:海野十三
うのが見られる。この奇人館はどこかそのアルコール漬けの臓器に似ていた。 灰色の部厚いコンクリートの塀、そのすぐ後に迫って、膨れ上ったような壁体でグルリと囲んだ....
あめんちあ」より 著者:富ノ沢麟太郎
ないところへひきずられて行って、そこへ迷い込むのであった。 そうして彼はかなり部厚い書物のなかを札の形に切り抜いて、そこへその現金を隠して置くか、挟み込んで置....
」より 著者:鷹野つぎ
らないが、よろしうございます。亡くなった坊やのおためにも」 附添婦の小谷さんは部厚い聖書の頁を繰り展げた。 私は亡児の気分のよい時に、小谷さんに二三度聖書を....
氷河期の怪人」より 著者:海野十三
かん心して言った。 「ああ、そうだね」 こたえたのは、木谷博士だった。博士は、部厚い本のページを開いて、しきりに読みつづけている。前の席の背中が、小さいたなに....
什器破壊業事件」より 著者:海野十三
の秘密であろうか。 「ああ、もしかすると……」そのとき光枝の頭に閃いたのは、この部厚い一枚彫の陽明門が、じつは一枚彫ではなくて、陽明門のあたりだけが、ぽっくり嵌....
戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
巷を吹きだした頃のことである。 その頃、金博士の許へ、差出人の署名のない一通の部厚い書面が届いた。博士が封を切って中を読んでみると、巻紙の上には情緒纏綿たる美....
四次元漂流」より 著者:海野十三
すっかり当惑してしまったかたちだった。 が、しばらくして課長は気をとりなおして部厚い雪子学士の研究ノートの頁を、ていねいに一頁ずつめくりはじめた。 そこにな....
軍用鼠」より 著者:海野十三
ワイトマンは小猫のミミーを大きな手で掴んだまま、空になった籠のまわり――特に部厚い木を貼った籠の下半分に近づけた。小猫は苦しがって身もだえした。そのたびに鈴....
火の扉」より 著者:岸田国士
い、その言葉に自分でてれている風であつた。 康子が宿へ帰ると、北原ミユキからの部厚い手紙がついていた。恐らく市ノ瀬へあてたハガキと同時に書いたものであろう。 ....
少年に文化を嗣ぐこゝろを」より 著者:中井正一
られたそうである。 博士の少年の頃、圖書館へ行って、本を要求したとき、館員が、部厚い本を持ち出して來て、未だ少年の博士に、その本を差出したそうである。 その....
縮図帖」より 著者:上村松園
は三、四十冊ぐらい。一冊ごとの枚数、厚さというものもべつに定めていないから大そう部厚いものから極く薄っぺらなものまで雑多である。だからして格好もさまざまで、竪横....
幽霊」より 著者:小野佐世男
ようになっているので、打ち水の時などさぞ便利だろうと思われたが、奇妙なことには、部厚い板で蓋がされ、おまけに大きな釘で開かないように釘付けにされていた。釘はすっ....
ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
が三十二三である。彼の荒々しい呼吸と興奮に躍動する彼の顔面の筋肉は白く垂れ下った部厚いスクリーンを通じてさえ、はっきりと感じられた。彼は疑いもなく自分たちと同じ....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
額のまろい※の肉の垂れた、眼の柔和な、何か老いて呆け面の、耳の蔽い毛の房々して、部厚い灰色の、凸凹の背の、気の弱い緬羊は密集して、誰から、どの列から誘うとも誘わ....